研究者詳細

顔写真

スズキ ケンイチ
鈴木 賢一
Kenichi Suzuki
所属
大学院経済学研究科 経済経営学専攻 システム科学講座
職名
教授
学位
  • 博士(工学)(東京工業大学)

  • 修士(工学)(東京工業大学)

経歴 4

  • 2018年4月 ~ 継続中
    東北大学 経済学研究科 教授

  • 2007年4月 ~ 2018年3月
    東北大学 経済学研究科 准教授

  • 1998年4月 ~ 2007年3月
    東北大学 経済学研究科 助教授

  • 1994年4月 ~ 1998年3月
    東京工業大学 社会理工学研究科経営工学専攻 助手

所属学協会 2

  • プロジェクトマネジメント学会

    2023年9月 ~ 継続中

  • 日本オペレーションズ・リサーチ学会

研究キーワード 3

  • プロジェクト・マネジメント

  • 確率計画法

  • 最適化

研究分野 2

  • 社会基盤(土木・建築・防災) / 安全工学 /

  • 社会基盤(土木・建築・防災) / 社会システム工学 /

論文 16

  1. A Fuzzy Shortest Path Model Considering Path Safety 査読有り

    Lena Mizukami, Takeshi Itoh, Ken-ichi Suzuki

    Scientiae Mathematicae Japonicae e-2023 Whole Number 36 2023年

  2. Search for a unique Nash equilibrium in two public goods games: mixed integer programming technique

    Kenichi Suzuki, Tatsuyoshi Miyakoshi, Jun-ichi Itaya, Akitomo Yamanashi

    Applied Economics Letters 1-5 2022年5月22日

    出版者・発行元: Informa {UK} Limited

    DOI: 10.1080/13504851.2022.2075822  

    ISSN:1350-4851 1466-4291

  3. Asia Pacific, Trans-Pacific Partnership, and the United States: The Network Perspective 査読有り

    Muhammad Mohsin Hakeem, Ken-ichi Suzuki

    International Symposia in Economic Theory and Econometrics 26 1-26 2019年6月19日

    出版者・発行元: Emerald Publishing Limited

    DOI: 10.1108/s1571-038620190000026001  

    ISSN:1571-0386

  4. Notes on income heterogeneity and number of contributors: Public goods model 査読有り

    T. Miyakoshi, K. Suzuki

    Pacific Economic Review 23 (5) 732-741 2018年

    DOI: 10.1111/1468-0106.12272  

    ISSN:1468-0106 1361-374X

  5. Why do only the G7+2 countries among United Nations members discuss about international public goods? A simulation study 査読有り

    Tatsuyoshi Miyakoshi, Kenichi Suzuki

    APPLIED ECONOMICS 49 (50) 5134-5143 2017年

    DOI: 10.1080/00036846.2017.1299106  

    ISSN:0003-6846

    eISSN:1466-4283

  6. Foreign Portfolio Investment and Economy: The Network Perspective 査読有り

    M. Hakeem, K. Suzuki

    International Journal of Economics, Finance and Business Management Studies 3 (1) 15-26 2017年

  7. Fragility and contagion within European Union's banking system: The network prospective 査読有り

    Muhammad Mohsin Hakeem, Ken-Ichi Suzuki

    International Journal of Monetary Economics and Finance 9 (2) 115-131 2016年

    出版者・発行元: Inderscience Publishers

    DOI: 10.1504/IJMEF.2016.076477  

    ISSN:1752-0487 1752-0479

  8. Centrality Measures for Financial Networks 査読有り

    M. Hakeem, K. Suzuki

    Australian Academy of Accounting and Finance Review 1 (2) 1-16 2015年

  9. Who are the members of the international club? 査読有り

    Tatsuyoshi Miyakoshi, Kenichi Suzuki

    APPLIED ECONOMICS 46 (14) 1582-1585 2014年5月

    DOI: 10.1080/00036846.2013.877574  

    ISSN:0003-6846

    eISSN:1466-4283

  10. The existence and uniqueness of equilibrium in the international public good model 査読有り

    Tatsuyoshi Miyakoshi, Kenichi Suzuki

    APPLIED ECONOMICS LETTERS 18 (18) 1751-1754 2011年

    DOI: 10.1080/13504851.2011.562155  

    ISSN:1350-4851

  11. 2次型損失関数による多期間資産選択問題の近似解法 査読有り

    鈴木賢一

    MTECジャーナル 19 3-18 2007年

  12. An international portfolio optimization model hedged with forward currency contracts 査読有り

    K. Suzuki, H. Konno, M. Morijiri

    Financial Engineering and the Japanese Markets 4 (3) 275-286 1997年

    ISSN:1387-2834

  13. Equilibria in the capital market with non-homogeneous investors 査読有り

    Hiroshi Konno, Ken-Ichi Suzuki

    Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics 13 (3) 369-383 1996年

    出版者・発行元: Kinokuniya Co. Ltd

    DOI: 10.1007/BF03167254  

    ISSN:0916-7005

  14. A MEAN-VARIANCE-SKEWNESS PORTFOLIO OPTIMIZATION MODEL 査読有り

    H KONNO, K SUZUKI

    JOURNAL OF THE OPERATIONS RESEARCH SOCIETY OF JAPAN 38 (2) 173-187 1995年6月

    DOI: 10.15807/jorsj.38.173  

    ISSN:0453-4514

  15. Optimal portfolios with asymptotic criteria 査読有り

    Hiroshi Konno, Stanley R. Pliska, Ken-Ichi Suzuki

    Annals of Operations Research 45 (1) 187-204 1993年12月

    出版者・発行元: Baltzer Science Publishers, Baarn/Kluwer Academic Publishers

    DOI: 10.1007/BF02282049  

    ISSN:0254-5330 1572-9338

  16. A FAST ALGORITHM FOR SOLVING LARGE-SCALE MEAN-VARIANCE MODELS BY COMPACT FACTORIZATION OF COVARIANCE MATRICES 査読有り

    H KONNO, K SUZUKI

    JOURNAL OF THE OPERATIONS RESEARCH SOCIETY OF JAPAN 35 (1) 93-104 1992年3月

    DOI: 10.15807/jorsj.35.93  

    ISSN:0453-4514

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書籍等出版物 1

  1. これだけは知っておこう!統計学

    鈴木 賢一

    2002年

講演・口頭発表等 3

  1. プロジェクトの全体リスクへの感度に基づくスケジュールリスク指標の特徴づけ

    鈴木 賢一, 飯田 哲夫

    日本オペレーションズ・リサーチ学会2024年秋季研究発表会 2024年9月11日

  2. Risk assessment framework for project’s activities with conditional expectation

    Ken-ichi Suzuki, Tesuo Iida

    The 33nd European Conference on Operational Research 2024年7月2日

  3. Latent Class Analysis on Risk Factors in Enterprise Information System Development Projects

    Ken-ichi Suzuki, Akinori Yokota

    The 15th International Conference on Project Management (ProMAC 2023) 2023年11月29日

共同研究・競争的資金等の研究課題 13

  1. プロジェクトの影響因子の構造化による定量的管理支援手法の開発

    鈴木 賢一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2021年4月1日 ~ 2024年3月31日

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    本研究の目的は、リスク駆動型アプローチによって既存のプロジェクト計画手法をより実務に即した型で再構成することである。この主目的は、1) リスク要因の構造的な把握および2) プロジェクト計画モデルを構築の2つの目標を設定している。この目標の実現にあたっては、(a) プロジェクトの実データの収集と統計的な分析、(b) 得られた分析結果に基づくプロジェクトのリスクを表現する確率モデルの構築、(c) それと整合的なプロジェクト計画モデルの作成と解法の開発、および(d) モデルを実務的観点からの検証を順次行っていく。本年度は、2つの企業から提供を受けたプロジェクトデータを対象に、主に(a)を中心として、部分的に(b)のパートを実施した。その結果、プロジェクトの遅延に影響を与える要因を単純な相関や回帰分析で明らかにすることには限界があること、潜在的なクラスを想定したモデルや要因間の因果関係を推定するようなモデル(ベイジアンネットワークモデル)のよう非線形性を取り扱える手法が有効であることがわかった。これの結果から、プロジェクトのリスク要因と遅延や費用超過などのリスクの顕現の間には表面的には把握しにくい構造が存在し、経験則に基づくリスク管理に限界があることが推察される。管理者がリスク管理のために重視している要素とは別に、管理者が重視していないものの、一定の条件のもとで影響を与える要素を把握することが過大であり、今年度の成果はその足がかりになるものと評価できる。

  2. 企業情報システム開発プロジェクトにおけるリスク管理に関する実証研究

    横田 明紀, 鈴木 賢一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Ritsumeikan University

    2020年4月1日 ~ 2024年3月31日

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    研究初年度である2020(令和2)年度では、システムインテグレーション企業(SI企業)でのシステム開発プロジェクトにおいて計画工数と実績工数との差異に関わる分布状況の把握、および計画工数と実績工数に差異をもたらした潜在的なリスク要因の分析をおこなった。 本研究に取り組むにあたり国内のある大手SI企業から2006年1月以降に開始され2019年3月までに完了した711件のシステム開発プロジェクトについて、プロジェクト開始前に見積もられた計画工数および78個のリスク評価項目とその評価内容、プロジェクト完了時に実際に費やされた実績工数が記されたデータの提供を受けた。この内、計画工数と実績工数の双方に欠損値がない693プロジェクトについて計画工数と実績工数との差異の実態を示した。さらに、こうした工数の差異に対しリスク評価項目での評価内容との因果関係を把握するため、工数比(実績工数を計画工数で割った値)が0.70以上、5.00以下の範囲にある638プロジェクトを分析対象とした潜在クラス回帰分析をおこなった。この分析を通じ、リスク評価項目を18のリスク因子にまとめ、かつ、それぞれのプロジェクトで工数に差異が生じた要因を、各リスク因子の影響度の違いに基づき5つの潜在クラスに分類した。この分析での結論は以下の2点を示唆している。 (1)潜在クラスが識別されることで、各クラスの特徴を把握することができ、事前のリスク評価に基づきプロジェクトの実績がどのような状況になる可能性があるのかを推測することができる。 (2)潜在クラスごとに強く影響する可能性が高いリスク因子を把握できることで、事前にリスクに対するきめ細かい対応を検討することができる。 以上のように、これまでの研究は計画段階でのリスクの評価がプロジェクト完了時の実績に与える影響、およびシステム開発プロジェクトにおけるリスク構造の特徴を明らかにしてきた。

  3. 日本の貿易ネットワークの変容と自由貿易協定

    鈴木 賢一, HAKEEM MUHAMMAD

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for JSPS Fellows

    研究種目:Grant-in-Aid for JSPS Fellows

    研究機関:Tohoku University

    2017年4月26日 ~ 2019年3月31日

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    本研究は,日本の主な貿易相手国が参加するアジア太平洋地域の貿易協定によって日本の貿易ネットワークがどのように変容したかを解明することである.特に,1980年台からの約30年間における主要な自由貿易協定(FTA)に着目し,2国間,地域間,および国際貿易の関係に対してどのような影響を与えたかを,ネットワーク分析の手法及び可視化技法を用いて明らかにする.さらに重力モデルにもとづくネットワークの影響評価も同時に行う.本年度は,以下の作業を行った.1)データ収集:1980年以降の日本および主要貿易取引相手国の貿易データを収集し,国別に集約したデータを作成した.またそれらを用いて基礎的な分析を行った.2)ネットワークの中心性指標の導出:収集したデータに基づき日本を含む貿易ネットワークを構築し,主として中心性に関する指標を計算した.3)ネットワーク構造の変容の分析の準備:環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の導入に伴うネットワーク構造の変容を見るための準備的な作業を行った.これらの作業による結果について,Netsci 2017 (June 2017, Indianapolice, USA)および Netscix 2018 (November 2018, Hangzhou, China)において報告を行った.

  4. 時間/費用/リソースを考慮したプロアクティブ型プロジェクト・プランニング

    鈴木 賢一, 飯田 哲夫

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2016年10月21日 ~ 2019年3月31日

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    本研究は,時間と費用,リソースの間に生じるトレードオフを考慮したプロジェクト・プランニング問題を考察した.不確実性下におけるプロジェクトの計画・管理において,個別に取り扱わることが多かった要素を統合し,かつ計量的に取り扱う枠組みを構築することが目的である.成果として,(1)タブー探索によるヒューリスティックス手法を開発し,(2) リスク指標の解析評価として対数正規近似手法を考案し,(3) 時間・費用・リソースのトレードオフ分析を行った.これらによって,統一的な枠組みによってプロジェクトの効率的なリソース配分を実現することが期待できる.

  5. 多期間確率計画問題における期末効果を考慮した近似手法

    鈴木 賢一

    2002年 ~ 2003年

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    多期間の確率計画問題は、時間について離散的なモデルを想定すると、シナリオツリーを用いた表現が可能である。これらの問題はタイプによっては動的計画法によるアプローチも可能であるが、状態変数の次元が大きい場合には必ずしも実用的ではない。数値計算を主眼とした手法として確定等価な問題に変換し、一期間問題として解く.アプローチがある。これは実用上しばしば用いられているものの、問題のサイズが時点数に関して指数的に増加するため、計算の面で一定の限界が存在する。 本研究では、線形制約と2次型の目的関数を持つ問題に対して、次のような近似的アプローチをとった。 1)ある期間以降問題の構造が一定であると仮定 2)最終期において、双対変数が既知であると仮定して、価値関数を評価 3)以後、再帰的に定義される価値関数をさかのぼって評価 4)近似開始期間における価値関数を、双対変数を含んだ形で導出 5)最終的に、主変数と双対変数の双方を計算 この方法により、一定の精度を持って、多期間の問題を解くことができた。

  6. 双対理論による資産価格評価の研究

    鈴木 賢一

    1999年 ~ 2000年

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    本研究では、一般的な制約を持つ多期間の投資決定問題を扱った。これは、離散時点における条件付き請求権評価問題をふくむようなクラスの問題である。これらの問題に対しては、連続モデルによる解析的な解法が存在しているが、取り引きに関する制約が無い、あるいは1資産のみの単純な制約下で適用が可能である。一方、離散モデルによる数値的な解法については、実務においても一定の成功を納めているものの、確定的等価な問題へ変換する手法は、期間数を大きくとれない欠点がある。 これらの点を克服すべく、ポートフォリオの価値を状態変数としてとる多期間モデルを構築し、分割型の解法を提案した。 解法は、以下の通りである。 1.最終期末時点のポートフォリオの価値wが与えられたもとで問題を解く。すべてのwについて最適値を得たならば、これをwの関数と見なす。 2.一時点前のポートフォリオの価値wが与えられたもとで、f(w)を目的関数として問題を解くwについてパラメトリックに解き、あらためてwと最適値の対応を関数f(w)とする。 3.この手続きを初期時点までバックワードに行うことにより、初期保有額から出発する最適戦略が得られる。 この手法においては、問題の規模は期間数に対して線形にしか増加しない。また、各期毎に独立した一般的な制約についても対応することができる。これらの特徴は、実データを用いた数値実験を通じて実際に確認することができた。 上記の方法は、各期の問題が資産価値wのみに依存している構造を利用している。したがって、それ以外の変数に依存するような構造を導入すると機能しない。これは多資産の取り引きコストを導入する際に障害となる。そこで、近似的に取り引きコストの影響を資産価値の変動に反映させるようなモデルについても考察を行った。

  7. 平均-分散-歪度モデルによる資産評価の研究

    鈴木 賢一

    1997年 ~ 1998年

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    本研究の目標は、歪度を考慮した資産評価モデルの構築である。第1段階として投資家個人のポートフォリオ選択問題の最適性条件より平均・標準偏差(分散)・歪度間の関係を導出した後、第2段階として市場全体の均衡条件を分析する計画であった。 第1段階については、i)平均・分散型の均衡条件同様、投資家は平均・標準偏差(分散)・歪度空間上の実現可能ポートフォリオ集合から生成される“効率的フロンティア"上のポートフォリオを選択すること、ii)実現可能ポートフォリオ集合が平均・標準偏差(分散)・歪度空間上における安全資産が対応する点を根とする錐であること、iii)要求する期待値と標準偏差間の比率が一定かつ共通の投資家は、“効率的フロンティア上"に存在する参照ポートフォリオと安全資産を組合せて保有すること(2資産分離定理)、がわかった。 しかしながら、第2段階の市場全体の均衡条件を導出するにあたっては、平均・分散型の場合にくらべて有意義な結果を得ることができなかった。これは、パラメータが3個のため、投資家全体に共通する参照ポートフォリオを設定することができないこと、投資家個人のポートフォリオ選択問題が、非凸型の数理計画問題となり、解析が困難であったことによる。 また、このテーマから関連して得られたものとして、当初の3パラメータのみを考慮したモデルから、これらの3っつのパラメータの情報を全て含む分布そのものを対象とするモデルに拡張を行った。このモデルにおいては、目標値とその確率を制御の対象とする。分布が一般的な離散分布として与えられる場合と、分布の歪みを生み出すファクターが一つの場合においてモデルを構築し、その解法を提案した。また、それを用いていくつかの数値実験を行っている。

  8. シミュレーションと最適化法を用いた資産の運用および価格付けに関する研究

    白川 浩, 今野 浩, 鈴木 賢一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tokyo Institute of Technology

    1997年 ~ 1998年

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    本研究においては、シミュレーションと最適化技法を用いた資産の運用及びニューラルネットワークを用いたオプションヘッジに関する研究を行った。得られた具体的成果は以下のとおりである。 1) 過去のパフォーマンスの良さに比例して重み付けを変化させるユニバーサルポートフォリオ選択戦略により、期待成長率を最大化する意味で最適な戦略を推定可能となった。 2) アメリカの証券市場においてユニバーサルポートフォリオ戦略を行うと、単なる事後的ポートフォリオ最適化戦略に比べて、成長率の意味でよりパフォーマンスのよいポートフォリオを構築できることが明らかとなった。 3) いわゆる過去のデータを利用して資産運用の方針を決定するバックテストのアプローチがサンプルごとの資産運用の最大化により、最適解への収束性が保証される理論的条件を明らかにできた。 4) ブラックショールズ式を一般化した評価式を考え、ニューラルネットワークによる学習可能性を調べた。結果として、ブラックシュールズタイプのコールオプション評価式が、十分な教師データを与えることにより、ある程度の精度でも学習可能なことが明らかとなった。またデルタヘッジによるオプション複製の可能性についても考察し、特に広いレンジの株価に対応したオプション価格の教師入力データが得られれば、デルタ関数(偏微分)についても十分学習可能なことが判明した。 5) 市場で取引されているオプション価格をもとに、コールオプショシ評価式を学習させ、デルタヘッジにより市場データから推定されるオプション価格式が合理性のある評価式となっているかを検訂した。結果としてブラックシュールズの一般化評価式を出発点とすれば、十分合理的な評価式が学習されていることが実証できた。

  9. 取引コストを考慮した資産の運用および価格付けのアルゴリズムの実用化に関する研究

    今野 浩, 古川 浩一, 白川 浩, 高橋 昭彦, 鈴木 賢一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Tokyo Institute of Technology

    1997年 ~ 1998年

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    資産運用モデルの研究において取引コストを明示的に扱ったのは、1984年のPeroldが最初である。しかしこのモデルを解くには、膨大な計算が必要とされるため、必ずしも実用的とはいえない。またこのモデルは、一期間のポートフォリオ管理を考えたものであり、継続的な資産運用に適したモデルではない。また1991年には、Davisが取引コストが存在する場合の最適な動的資産運用法について明らかにした。ところがこのモデルも、最適解の計算に大変な時間がかかる上に、選択可能な資産が2資産に限定されるという点で、実際の資産運用に利用することはできない。 このように、取引費用がある場合の資産運用モデルの構築や資産の価格付けは、実務面できわめて重要かつ緊急の課題であるにも拘わらず、まだその研究は緒についたばかりであって、そのためのソフトウェアほとんど整備されていないのが実情である。そこで以下では、取引コストの取り扱い方に関するわれわれが採用した新しいアプローチを、やや具体的に説明する。 取引コストが資産運用問題を難しくする最大の理由は、定式化された数理計画問題が非凸型最適化問題となることである。このため、非凸型コストを線形近似するアプローチが用いられてきたが、その近似は一般に極めて悪く、実用面から見て問題の多いものであった。 これに対してわれわれは、今野が提案した平均・絶対偏差モデルに取引コストを取り入れた場合、線形近似と分枝限定法を併用することによって、精度のよい近似解を生成できること、そしてこの近似の精度はモデルの変数が大きくなるほど向上することを実証した。 またこの研究では、この手法を用いたソフトウェアを作成し、実際の市場データを用いて、これが従来のものに比べて格段に実用性の高いモデルであることを実証した。なお上記のアプローチは、取引コストがある場合の派生証券の評価においても有効であることが、白川らによって示されており、上で得られた成果はこの問題にも直ちに応用できるものである。 今野らは、かねてより低ランク非凸型最適化の分野で、大規模な実用的問題に対する効率的解法を研究してきたが、今回取引コストがある問題に対する効率的解法が開発されたことは、ファイナンスにおける様々な難しい問題を解くための突破口が開かれたことを意味する。

  10. 社会システム工学における大域的最適化モデルの研究:低ランク非凸型問題を中心に

    今野 浩, 鈴木 賢一, 大島 安敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Tokyo Institute of Technology

    1996年 ~ 1997年

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    本研究では、低ランク非凸型最適化問題の大域的最適解を求める効率的アルゴリズムの開発と、その応用に関する研究を行った。得られた具体的成果は次の7つである。 1.いくつかの線形分数関数の和および積を凸多面体上で最小化する問題に対して、外部近似法を用いたアルゴリズムを開発し、これが中規模の問題が実用的時間で解けることを示した。 2.3つの線形分数関数の和および積を、凸多面体上で最小化する問題に対して、パラメトリック単体法を用いた解法を提案し、1.で説明した方法(外部近似法)より高速に最適解が求まることを実証した。 3.凹2次計画問題の最適解を効率的に求めるためのヒューリスティック解法を提案し、その実用性を検証した。 4.変数分離可能な非凸型最適化問題を、局所下方線形近似を施して効率的に解くアルゴリズムを提案し、これを凹型取引コストポートフォリオ最適化問題と平均・絶対偏差・歪度モデルに適用して、実用性をもつことを提証した。 5.線形計画問題に、アフィン関数の積として表される何本かの制約条件を追加した問題に対する分割-カット算法を提案し、その効率性を実証した。 複数の蒸気タービン発電気の運転効率化に関する非凸型最適化問題の、効率的なヒューリスティック解法を開発した。 1997年初頭に、「Optimization on Low Rank Nonconvex Structures」をKluwer Academic社より出版した。この本は、過去10年にわたって実施してきた、低ランク非凸型問題の理論・解法・応用に関する成果を集大成したものである。

  11. 資産の運用と価格付けに関する工学的研究

    今野 浩, 鈴木 賢一, 白川 浩, 古川 浩一, 竹原 均, 楠岡 成男

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

    研究機関:Tokyo Institute of Technology

    1996年 ~ 1997年

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    合理的な投資基準に基づく金融投資のための数理工学的な手法・技術の確立を目指して、それぞれの分担課題につき検討を進め,以下のような成果を得た. リスクの構造解析と資産負債管理に関する研究(担当:枇々木,福川,古川)では証券市場での株式時価総額による企業活動の総合評価を行い,結果として成長,非成長または倒産企業の類別が、財務政策並びに経営政策とどのように関係しているのかを統計的に明らかにした. 資産収益率の時系列解析とその生成構造の解析に関する研究(担当:岸本(一),矢島)では,金融時系列データのモデルとして広く利用されているARCH,GARCHモデルにおいて,最尤法を適用する場合に問題となっている初期分布の確定法について検討した.その結果,有限マルコフ過程による近似解析の導入によって、極限分布を求めることにより従来のシミュレーション法では排除できなかった初期値依存性を克服できることを示した. 派生証券の価格づけに関する研究(担当:大西,木島,楠岡)では,原資産の価格過程の経路に依存した利得を得る権利である経路依存型のオプションの評価法について検討した.結果としてあるクラスの経路依存型オプションに対する上下限価格を,離散時間モデルを用いて統一的に評価できるアルゴリズムを提案した. 金利の期間構造の分析に関する研究(担当:岸本(直),白川,森平)では,いくつかの通貨及び金利が存在する下での通貨・オプションの評価法について検討した.結果として無裁定条件が成立する場合のオプション価格の,価値尺度材に対する普遍性並びにオプションプレミアムとモデルパラメータの関係を明らかにした. 大規模ポートフォリオ最適化に関する研究(担当:今野,鈴木,竹原,中里)では,東京証券取引所第1部に上場されている企業の株式収益率のファクター構造を分析し,結果としてマルチベータモデルによる期待収益率評価の有効性を示した.

  12. 取引コストを考慮した資産の運用および価格付けに関する研究

    白川 浩, 鈴木 賢一, 今野 浩

    1996年 ~ 1996年

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    取引コストを考慮した資産の運用及び価格付けを目指して,それぞれの分担課題につき検討を進め,現在までに以下のような成果を得た. 資産の価格付けに関する研究(担当:白川)では,比例的な取引コストがかかる場合のオプション評価の合理的評価理論について考察し,ポートフォリオの価格の上下限価格の導出法について分析した.結果として1)無裁定条件を満たす場合には、従来のマルチンゲ-ル測度を拡張した測度のクラスにより、合理的な証券市場モデルの特徴づけが可能となる事を示した.また2)この測度の下でのリスク中立的なオプション評価額の最大値・最小値により,取引コストが存在する下でのオプションの合理的な評価額の上下限価格が与えられることを示した. また資産運用の最適化に関する研究(担当:今野)では,動的な平均分散モデルにおける投資家の期待収益率の役割を考察した.結果として,安定した均衡と両立しうる資産価格の条件を導出し,証券市場がクラッシュしないための全投資家の期待収益率の上限を示した.さらに1980年代の証券市場の崩壊が,この基準から不可避的なものであったことを検証した. 資産運用最適化アルゴリズムの研究(担当:鈴木)では,ポートフォリオの価値がある値を下回る確率が一定以下となる制約のもとで投資する場合の,最適ポートフォリオの計算アルゴリズムについて検討した.結果として,アセット・アロケーションの枠組をもちいれば,離散的な定式化による近似的導出が実現的に可能であることを示した.

  13. 工学システムにおける大域的最適化モデルに関する研究

    今野 浩, 久野 誉人, PHAN Thien T, 矢島 安敏, 鈴木 賢一, 白川 浩

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)

    研究機関:TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY

    1994年 ~ 1995年

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    今回得られた成果の主なものは、以下のとおりである。 (1)多目的最適化における“パレート最適曲面上での凸関数最小化間題"に対して、外部近似法を適用する際に、時折発生する異常収束を防止する手段として、辞書式順序付け法を開発した。これによって、どのような場合でも外部近似法が、最適点を生成する保障が得られた。 (2)2部グラフ上での凹型コスト輸送間題に対して、外部近似法を用いたアルゴリズムを開発した。この方法は、非線形費用を伴う枝の数が少ない場合には、最適解を効率的に求めることができる。 (3)低ランクの凹2次計画間題に対して、Rosenの切除平面とTuyの切除平面を組合わせた解法を提案し、その効率性を実証した。これをタブ・タ-チ法と組合わせれば、より実用的な解法が得られるものと期待させる。 (4)情報処理学会の求めに応じて、大域的最適化に関わるサーベイ論文を執筆した。 (5)5年がかりで執筆中であったモノグラフ「Optimization on Low Rank Nonconvex Structures」の最終原稿を完成させ、1996年12月にKluwer Academic社から出版される。この書物は、Global Optimizationの分野における、今野、久野、矢島、Thach、Tuyらの10年間わたる成果を集大成したもので、今後長期間にわたって、この分野の基本的文献として利用されることになるであろう。

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