研究者詳細

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ヨコヤマ ヒサトシ
横山 寿敏
Hisatoshi Yokoyama
所属
大学院理学研究科 物理学専攻 固体統計物理学講座(物性理論分野)
職名
助教
学位
  • 理学博士 (東京大学)

研究分野 1

  • 自然科学一般 / 磁性、超伝導、強相関系 /

論文 1

  1. Interplay between staggered flux and d-wave superconducting orders in t-t′-J model

    Kenji Kobayashi, Hisatoshi Yokoyama, Yuta Toga

    Journal of Physics: Conference Series 1054 012016-012016 2018年7月26日

    出版者・発行元: IOP Publishing

    DOI: 10.1088/1742-6596/1054/1/012016  

    ISSN:1742-6588

    eISSN:1742-6596

共同研究・競争的資金等の研究課題 21

  1. 変分モンテカルロ法によるフィリング制御型モット転移に対する不純物効果の研究

    横山 寿敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2020年4月1日 ~ 2023年3月31日

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    本研究の主目的は、モット絶縁体に化学的に電荷キャリアをドープした(伝導領域で電荷中性が崩れた)場合、どのような機構で有限ドープ率まで絶縁体に留まるのか(フィリング制御型モット転移機構)を変分モンテカルロ法により明らかにすることである。また、継続的に研究している光励起などによる電荷中性を保ったまま電荷キャリア(ダブロンとホロン)を系に導入した場合との差異を調べる。 今年度は、昨年度遅れが出た予備計算を続け、まず2つの形式[(i) 電子相関 および (ii)一体ポテンシャル をそれぞれ制御する場合]の試行波動関数の適否を調べた。不純物ポテンシャルが引力的の場合は (i) が (ii) より安定で、遮蔽効果を確認し易いが、斥力的でかつ相関が或る程度強い場合は (i) だと最適化が収束せず計算できない。一方 (ii) の場合は、高ドープ率の一部領域を除き、収束することが解った。これより、パラメータ空間全域を系統的に調べる本計算では、(ii)型の試行関数を用いることとした。 この試行関数をフラストレートした2次元正方格子における不純物ハバード模型に適用し、そのパラメータ[相互作用強度 (U/t)、不純物ポテンシャルの大きさ(V/t)、フラストレーションの強さ(t’/t)、ドープ率(δ)、不純物濃度(δi)]を変えた場合の振る舞いを調べた。今年度は、純粋系で安定化する反強磁性状態と常磁性(正常)金属状態を調べた。全計算が完了したわけではないが、判明してきたこととして、系の絶縁体化に対して、δとδi の大小関係とV値が非常に重要である。(1) δi <δ では絶縁体化は起こらない。(2) δi =δでは V>Vi >0 の場合は常に絶縁体になり、(3) δi >δの場合は、V(>0)が中程度の大きさでのみ絶縁体になる。これらは、大凡定量的に直観的な考察と符合することが解った。

  2. 新アルゴリズムの変分モンテカルロ法によるモット物理が本質的な系の励起状態の研究

    横山 寿敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2016年4月1日 ~ 2020年3月31日

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    粒子間に強い相互作用が働く系で基底状態(絶縁体)と励起状態の間にエネルギーギャップが開いている場合を考える。ギャップを超える励起を行った場合、励起状態が弱い緩和過程を経た後の準定常状態ではどのような性質を持つか、通常基底状態に用いる変分モンテカルロ法を励起状態向けに発展させて調べた。その結果、常磁性状態や対生成した状態は弱い励起強度で(超)伝導性を持つ状態に相転移するが、反強磁性状態は強い励起強度まで絶縁体のままであり、最も安定した状態であった。したがって、励起直後に現れる伝導性が緩和された後には、基底状態と似た反強磁性状態に定常状態として落ち着くだろう。

  3. コーンおよびベリー位相の理論に基づく変分モンテカルロ法を用いたモット転移の研究

    横山 寿敏, 小形 正男, 小林 憲司, 田村 駿, 佐藤 諒

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2013年4月1日 ~ 2017年3月31日

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    電子相関による導体-絶縁体転移(モット転移)の幾つかの性質を、多体変分理論に基づく数値計算により調べた。長年不可能であった伝導性の指標であるドゥルーデ重みの計算を、コーンの方法に位相因子を導入することで理論的な解決に至った。この方法を局所カレントのある状態に適用し、交替磁束状態の安定性についての理論的矛盾を解決した。 モット絶縁体の局在長についてベリー位相の理論に基づく計算を行い、この方法でモット転移点の決定が可能であることを示した。また、ドープされたモット絶縁体においてパンドくりこみ効果の計算を行い、反強磁性状態が著しく安定化することを示した。

  4. 銅酸化物超伝導体における「2ギャップ問題」の変分法およびBdG方程式を用いた研究

    横山 寿敏, 小形 正男, 土浦 宏紀

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2010年 ~ 2012年

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    銅酸化物超伝導の機構解明に重要な擬ギャップとd-波超伝導について、ハバード模型に対して主に変分モンテカルロ法を適用し、系統的な研究を進めた。ハーフフィリング近傍の電子密度で電子間相互作用を強めると、各状態ともバンド幅程度でモット転移に対応したクロスオーバーを起こす。弱相関側は通常のフェルミ液体(BCS超伝導)、強相関側は単一占有とダブロン-ホロン束縛が支配するドープされたモット絶縁体である。銅酸化物の様々な性質は後者でないと説明できない。

  5. 多体変分法による光学格子上のボース系とフェルミ系のモット転移に関する対比的研究

    横山 寿敏

    2008年 ~ 2009年

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    モット転移は運動(W)及び斥力相互作用(U)の両エネルギー要素が拮抗する領域で起こるため、弱相関(U/W→0)及び強相関(U/W=∞)両極限での理論により適切に扱うことは難しい。そこで、あらゆるU/W値に対して局所相関を厳密に扱える最適化変分モンテカルロ法を適用して、フェルミ系とボース系のモット転移に関する対比的研究を行った。 レーザー冷却による光学格子上ボース粒子系はボース・ハバード模型がほぼ理想的に実現された系である。この単純な系でモット転移機構の詳細を理解することにより、より複雑なフェルミオン系にフィードバックし、転移機構のより深い理解に達することができよう。波動関数の多体部分にはモット転移の記述に不可欠な同一サイト相関因子と次近接サイトまでのマルチプロンーホロン相互作用を導入した。フェルミハバード模型では、試行関数中の行列式の計算が比較的大変で、L≦16(L:線形次元)の系を用いた。この場合、様々な物理量の結果から、U=Uc~Wという有限の臨界相互作用値において、1次の非磁性モット転移が起こると思われた。本研究課題で計算したボース系の波動関数は、L=40程度の系が扱えるため、サイズ依存性をより正確に議論できる。その結果、Uc値はLの増大に伴って増大し、収束には別因子が必要なことが解った。モット転移の臨界値は自由粒子(金属)側と絶縁体側のエネルギーの微妙な競合によって決まるため、かなり繊細な量であり、格子の次元や形に定量的に依存する。これらの研究成果を基に、現在はスピンの内部自由度を持つ系(S=1)のモット臨界現象に研究の対象を広げている。

  6. 最適化変分モンテカルロ法によるBCS 状態とボース凝縮のクロスオーバーの研究

    横山 寿敏, 小形 正男, 小形 正男

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2007年 ~ 2009年

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    同一格子点で電子間に引力が働く系を記述する引力的ハバード模型で、相互作用エネルギー(U)と運動エネルギー(W)の比U/Wを大きくしてゆくとき、低温で現れる超伝導の性質は、よく知られたBCS型からボース凝縮(BEC)型へとクロスオーバーすると考えられていたが、信頼できる定量的な研究は殆ど無かった。本研究では局所相関を厳密に扱える最適化変分モンテカルロ法を用いて、クロスオーバーの性質を調べ、類似の現象が出現する銅酸化物高温超伝導体との比較検討を行った。

  7. 最適化変分モンテカルロ法による超伝導-絶縁体転移と量子流体相の研究

    横山 寿敏, 小林 憲司

    2006年 ~ 2007年

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    銅酸化物超伝導体の未ドープの母物質の性質を知ることは、高温超伝導の機構を考える上で極めて重要である。本研究では、電子相関強度U/tについて弱相関、強相関の両側から取り扱うことができるハバードモデルを考えた。多くの研究では相関強度のいずれかの極限(U/t=0,∞)から理論を展開するが、本研究ではあらゆるU/tの値に対して、局所相関効果を厳密に扱うことが可能な変分モンテカルロ法を用いて、U/t(>0)のあらゆる値に対して、基底状態の様々な性質を議論し、このモデルと金属絶縁体転移や高温超伝導の機構を総合的に考えて行く。 初年度は、格子の対角方向へのホッピングt'が入った正方格子で、ハーフフィリングのハバードモデルに対するd波の一重項状態の性質を中心に考えた。変分試行関数としてd波対称性を持つBCS関数に同一サイト相関因子とダブロン-ホロン間の束縛因子を最近接と次近接サイトまで取り入れた4体相関因子を導入して計算を行った。反強磁性秩序を排除した場合は、これによりバンド幅程度の相互作用強度で、金属絶縁体転移が実際に起こることと、定性的にも正しいモット転移の記述ができることを示した。反強磁性は独立な波動関数を用いて考えた。U-t'のモデルパラメーター空間内でフラストレーション|t'/t|が小さな場合は、反強磁性秩序相が大きな領域を占めるが、或る程度大きな場合は非磁性になる。2年目にはd波一重項状態を用いてドープした場合の超伝導の性質を調べた。ハーフフィリングでのモット転移は、ドープすると超伝導状態のクロスオーバーへと変化し、弱相関側では、相互作用エネルギーの減少に誘導されたBCS的超伝導が起こり、バンド幅より強い相互作用領域では、運動エネルギーの減少が引き金となる強相関型超伝導になる。超伝導と反強磁性が共存する状態の研究が、残された重要な課題である。

  8. 分子性導体での異方的超伝導と量子相転移の最適化変分モンテカルロ法による研究

    横山 寿敏, 田仲 由喜夫

    2006年 ~ 2007年

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    分子性結晶物質のκ-ET塩は、狭バンドで相対的に電子相関が強く、反強磁性秩序、モット転移、異方的超伝導といった強相関系で起こる様々な現象が見られる。この物質は異方的三角格子上の単バンドハーフフィリングのハバード模型で、電子的性質がうまく記述できると考えられ、置換基や圧力を変えることで、異方性パラメーターt'やバンド幅(相関強度)U/tを変えられる。最近、等方性のよい化合物で非磁性の超伝導・絶縁体転移が見出されて話題になっている。 本研究では上記モデルに対し、あらゆる相関強度で局所相関効果を厳密に扱うことが可能な変分モンテカルロ法を用いて、基底状態の様々な性質を議論し、このモデルとET塩の物理を総合的に考える。初年度ほ、d波一重項状態の性質を中心に考えた。変分試行関数としてd波対称性のBCS関数に同一サイト相関因子とダブロン-ホロン間の束縛因子を取り入れて計算を行った。後者を導入することにより、非磁性状態で定性的に正しいモット転移の記述ができた。一方、反強磁性は独立な波動関数を用いて考えた。これらの成果を基に、2年目はd波一重項と反強磁性長距離秩序を同時に取り込み、さらに相互作用によるバンドくり込みの効果を直接扱える波動関数と、等方的パラメーター領域で優位性が高い120度スピン構造をもった反強磁性状態の計算をそれぞれ行った。その結果、大きなU/t(>8)のときt'/tがかなり大きな値(〜0.9)まで、通常の反強磁性秩序相が占め、等方点(t'/t=1)近傍からt'/tが1.6程度までは120度反強磁性状態が安定化することが判った。一軸的対称性を好む時間反転対称性の破れたd+d波やd+id波の一重項状態は、さらに対角方向にホッピングが強い場合に現れることが判った。

  9. コバルト系超伝導体の凝縮対対称性に対する最適化変分モンテカルロ法による研究

    横山 寿敏, 小形 正男

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2004年 ~ 2006年

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    水和コバルト化合物超伝導体のモデルと考えられる単バンドの三角格子、及び関連が深い異方的三角格子の格子構造に対し、最適化変分モンテカルロ法をハバード型モデル及びその強相関モデルであるt-J型モデルに適用し、基底状態及び低温での性質を調べた。 主な結果としては、前年度の計算に引き続き、三角格子の単バンドモデルの結果を基に、コバルト系酸化物ではd軌道の縮退が重要であるという観点で、2バンドハバードモデルにおける基底状態の性質、特に超伝導の安定化条件や電子対の対称性を調べた。コバルト酸化物のフェルミ面近傍のバンドの概形を再現できるような、簡単な1電子構造を仮定し、電子間相互作用と電子密度を変化させて、様々なクーパー対対称性の超伝導状態について計算を行った。ハーフフィリング近傍の、ポケット状非連結のフェルミ面がvan Hove特異点に重なる電子密度のときに、電子間相互作用の大きな領域で、s,d,p(の合成)波の対称性を持つ超伝導状態が安定化し、このうち最低エネルギーの状態はd+id波であった。この超伝導状態の安定化は、銅酸化物の場合と同じく反強磁性的磁気相関の増大に起因する相互作用エネルギーの利得によってもたらされることが明らかになった。 単バンドモデルの拡張計算として、異方的三角格子および両対角に次近接ホッピングが入ったフラストレートした正方格子に対し、ハバードモデルの範囲内でモット転移及び超伝導発現の研究も並行して行った。特にドープした場合の挙動を後者で調べたが、フラストレーション項の符号が重要で、もっともらしい相関強度の場合、正ならば(電子ドープに対応)安定した反強磁性が現れるが、負の場合(ホールドープに対応)は反強磁性状態が自己不安定になり、ハーフフィリングの反強磁性領域と高ドープ率のd波超伝導状態に相分離することが解った。

  10. 強相関電子系の新奇な低エネルギー状態の探索

    小形 正男, 横山 寿敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:University of Tokyo

    2003年 ~ 2005年

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    本研究では高温超伝導のモデルに対する新奇な状態を、変分モンテカルロ法という数値的な手法と、解析的な手法を組み合わせて調べることを計画した。とくに単純な平均場近似や弱相関領域での摂動論では取り入れることのできない強相関の効果を、十分考慮することを主要な目的とした。 高温超伝導発現のメカニズムに対して凝縮エネルギーの観点から解析を行った。まず変分モンテカルロ法によって基底状態のエネルギーを評価し、超伝導を持つ状態と持たない状態(正常状態)のエネルギーを比較して、凝縮エネルギーを調べた。その結果、強相関の領域では、運動エネルギーが利得することによって超伝導が発生するという、通常のBCS理論とは逆の結論が得られた。一方弱相関の領域では、通常のBCS理論に戻ることが示された。 またもう1つ別の方法として、FLEX近似により超伝導転移温度以下でのエネルギー利得の微視的なメカニズムを調べ、同様の結論を得た。これは超伝導ギャップが非常に大きい高温超伝導体特有の現象であり、超伝導ギャップが準粒子の繰り込みパラメータを変化させることに起因する。また、この結果が実験的に観測されている光学総和則の破れをよく説明することも示された。 また典型的な強相関電子系のモデルであるt-Jモデルについて、変分モンテカルロ法と相補的な高温展開の手法によって、有限温度での超伝導相関を調べた。この方法では絶対零度への外挿が常に問題になるが、我々は、より高次の次数まで計算を進め、さらに新しい外挿法を組合せることによって低温領域まで精度よく評価することができるようになってきた。その結果、実験と対応するパラメータ領域においてd波超伝導相関が発達することを明らかにし、変分モンテカルロ法による結果を補強した。

  11. 低次元強相関超伝導系における不純物周りの電子状態

    田仲 由喜夫, 横山 寿敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Nagoya University

    2002年 ~ 2003年

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    バルクに導入された磁性或いは非磁性不純物の効果を考える場合、バルクの電子状態を知ることが不可欠であるが、電子相関が強い銅酸化物系に対しては、理論的に確立した知見がほとんど無い。そこで、今年度は、2次元ハバードモデルに対し、相互作用U/tや電子密度nに依存したバルクの性質を、変分モンテカルロ法によって調べ、以下の成果を得た。その際、波動関数としては、定性的にも不都合のあるGutzwiller射影(0次)を超えた、強相関展開の2次及び4次の一部の効果を取り入れた改良型射影演算子を用い、0次の短所を克服した。次近接ホッピングt'を入れない基本的な場合の場合をまずまとめる。(a)ハーフフィリング(n=1,非ドーピング)の場合は、U/tの全領域で反強磁性秩序が現れる。最低エネルギー状態ではないが、d波超伝導状態も常磁性状態よりは安定で、u=Usi〜6.5tで超伝導-絶縁体転移を起こす。(b)ドープされた場合(n<1)、反強磁性状態はそれ自身不安定で、相分離を起こし、d波超伝導状態が安定な領域が広がる。d波超伝導状態は、U=Uco〜12tでその性質がBCS型から強相関型へとクロスオーバーする。U<Usiでは超伝導の安定化は微小だが、U>Usiでは十分に安定化する。ポテンシャルエネルギーの低下が超伝導を引き起こすBCS型とは異なり、強相関型の領域では運動エネルギーが超伝導の起因となっている。最近の銅酸化物の光学伝導度の実験は、運動エネルギーの低下を示唆しており、我々の結果と比較して、強相関型の超伝導だと考えられる。次にt'を導入した場合を述べる。(a)t'/t<0の場合は、d波超伝導状態が安定化される一方、反強磁性状態は著しく抑制される。(b)t'/t>0の場合は、その逆である。(c)銅酸化物との比較ではt'/t<0はホールドープ系、t'/t<0は電子-ホール変換によって電子系と対応するが、いずれもARPESなどの実験やバンド計算と一致した結果である。

  12. 軌道の秩序と揺らぎの理論

    倉本 義夫, 播磨 尚朝, 酒井 治, 斯波 弘行, 横山 寿敏, 楠瀬 博明, 山上 浩志

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)

    研究機関:Tohoku University

    1999年 ~ 2001年

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    軌道の秩序と揺らぎについて,理論的に以下のような研究を行った。 *軌道秩序をもたらす微視的相互作用の理論 RB6(R:希土類元素)に共通する秩序パターンの特徴的波数の起源を説明した。 *軌道秩序を考慮したバンド構造の理論 新しく開発したLDA+U法でf電子系の軌道秩序状態の電子状態の計算が可能になった。代表的な物質の電子構造を計算し,物性との関連を明らかにした。 *軌道自由度と磁気構造の理論 (1)CeB6:この物質の四重極相においては、磁場をかけると交替的な八重極が誘起されることを以前から主張していたが、この特定領域の中で、Ceイオン間の相互作用の解析からそれが自然に理解出来ることを明らかにした。また,隣り合うモーメントが直交する現象については,擬双極子相互作用の重要性を指摘し,分子場理論によって相図を説明した。 (2)Yb4As3の電荷秩序相:この物質の低温の磁気的性質を記述する有効ハミルトニアンを導いた。その結果、交替的なジャロシンスキー守谷相互作用を含む異方性を正確に記述出来るモデルが得られた。 (3)TmTe : TmTeは立方対称性を持ち、結晶場の基底状態がCeB6と同じであるので、CeB6との比較は興味がある。そこで、TmTeの四重極相の性格、磁場によって誘起された磁化について理論的に調べた。

  13. 密度行列くり込み群法によるスピンギャップ系の元素置換効果の研究

    横山 寿敏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku university

    1999年 ~ 2000年

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    密度行列くり込み群法と厳密対角化法を用いて、スピンギャップを示す擬一次元磁性体([1]ハルデーン系、[2]結合交替系、[3]スピンパイエルス系、[4]梯子物質)の元素置換効果を調べた。これら全てを表しうる一次元模型[次近接相互作用(パラメーターα)と結合交替(同β)を含む]を取り上げ、純粋物質及び不純物ドープ系に対する計算を行った。主な結果を以下に記す。(1)ギャップ、スピン相関長、ストリング秩序変数の挙動から、純粋物質(系のサイズL=∞)はα-β空間上で、β=1(結合交替なし)とα=∞(二鎖に分離)の場合(スピン液体相)以外は、ハルデーン(スピン固体)相に属する。(2)非磁性不純物をドープした場合(Lが有限)は、相関長や最低磁気的状態(S^z≠0)のスピン分極の挙動が、典型的ハルデーン相とスピン液体相近傍のハルデーン相の間で著しく異なる。前者では相関長や分極(磁気励起)がLには依存せず、分極は鎖端に局在するが、後者では交替磁化が全系に広がり、その振幅はLの減少に伴い急激に増大する。前者に属する[1]や[2]の物質群は高濃度のドーピングでもギャップを維持するが、後者の[3]や[4]は微量の不純物によって、ギャップが潰れて反強磁性秩序が出現する、という傾向が理解できる。(3)α-β空間上で、非整合スピン相関の存在が予測されていたが、その全貌と詳細な相図を明らかにした。量子揺らぎによる実空間と運動量空間での非整合度のずれも詳細に議論した。 次に、以上の局在スピン系の成果を基に、密接な関連を持つ銅酸化物高温超伝導体の幾つかの模型に対し、擬ギャップとストライプ構造の安定性の変分法による計算を行った。この研究は引き続き次期の研究で詳しく追求する予定である。

  14. シングレットペア波動関数によるスピンギャップの研究

    横山 寿敏

    1997年 ~ 1998年

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    擬一次元量子スピン系の研究は、高温超伝導体の擬ギャップ問題と関連して活発に行われており、それらの物質が示す様々な性質を統一的に説明することが緊急の課題になっている。本研究では主に厳密対角化法とリカージョン法、変分法を用いて、基礎的な一次元モデル(結合交替と次近接交換相互作用をパラメーターに含むハイゼンベルクモデル)を厳密に扱い、その結果と実験結果との比較を基に高次元の効果などを考察した。主な成果を以下に箇条書きにする。1.スピンパイエルス転移を示す物質CuGeO_1の様々な物性を調べた。(1)様々なモデルパラメーター値に対して動的構造因子S(q,ω)を計算し、最近得られた非弾性中性子散乱スペクトルと比較して、パラメーター値を決定した。比較的大きな次近接相互作用がこの物質の特異な物性に重要な寄与を及ぼしていることが解った。(2)低温及び高圧下におけるCuGeO_3の様々な物性は、加圧によって次近接相互作用が相対的に増大すると仮定すると、首尾一貫して説明できることを示した。2.強磁性-反強磁性結合交替化合物である単斜晶CUNb_2O_6の様々な実験結果が同じモデル(異なったパラメーター)によって説明できることを示した。また、強磁性-反強磁性結合交替系では、高エネルギー側に強磁性結合の切断による磁気励起の分岐が存在することを明らかにした。3.スピンギャップ物質は、その不純物(元素置換)に対する挙動によって大きく二分される。元素置換に対して、ハルデーン系や結合交替系はギャップの性質を維持するが、スピンパイエルス系や梯子格子系は微量の元素置換でギャップが壊れ、反強磁性長距離秩序が出現する。上記モデルにはこれら全ての系が包含されており、広いパラメーター領域で性質を調べることによって不純物効果の違いが説明できた。

  15. 銅酸化物高温超伝導体の異常金属相に関する変分的研究

    横山 寿敏

    1996年 ~ 1996年

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    銅酸化物高温超伝導体の相図中で、超伝導相の高温側に位置する異常金属相に於いて発見された擬スピンギャップの出現機構を探ることを目標として、その基礎固めの為に今年度は、(1)基底状態の相図と超伝導相のペアリング対称性をRVB型超伝導関数などを用いて詳しく調べた。(2)更に、スピンギャップの性質を系統的に理解するために、ギャップレスからスピンギャップ状態への転移が存在する一次元系J-J'モデルの励起スペクトルを厳密対角化法とリカ-ジョン法などを併用して詳細に調べた。以下主要な結果を項目毎に述べる。(1)二次元t-Jモデルとそれに補正項が加わった場合を考えた。基底状態の相図は、高温超伝導に対応するパラメーター領域でd波の超伝導状態が広く存在し、Jの大きな領域には相分離、低濃度領域にはs波の領域が存在する。またJが小さく電子密度もそれ程大きくない領域ではほぼ金属的である。超伝導の対称性については、s波とd波の混合(実及び複素)を考慮したが、高電子密度でこれらの状態が安定化することは無く、常に安定なの対称性はd波であった。以上の結果は、3サイト(補正)項を導入しても基本的には変化しない。(2)一次元J-J'モデルのスピン励起スペクトルは、ギャップの有無に対する転移点J'/J=0.2411の両側で、ギャップの有無以外の特徴も随分異なる。ギャップレスの領域は基本的にハイゼンベルクモデルと類似して、正弦(或いは二次)曲線の間に主要な連続スペクトルが広がるが、ギャップのある領域では、波数qを固定したときの動的構造因子S (q, ω)がωの単調減少関数にはならず、またq=π/2近傍で孤立モードが出現する。これの特徴は無機スピンパイエルス物質であるCuGeO3の中性子非弾性散乱スペクトルと符合し、この物質ではJ'によるフラストレーションがかなり大きなことが解った。

  16. 経路積分変分モンテカルロ法を用いた強相関電子模型のモット転移に関する研究

    横山 寿敏

    1996年 ~ 1996年

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    銅酸化物高温超伝導体に於けるモット転移の機構を解明するためには、超伝導相の高温側に位置する異常金属相を詳しく研究する必要がある。ここで見出されている擬スピンギャップを念頭に、今年度は基礎を固めるために、(1)基底状態の相図と超伝導相のペアリング対称性をRVB型超伝導関数などを用いて詳しく調べた。(2)更に、スピンギャップの性質を系統的に理解するために、ギャップレスからスピンギャップ状態への転移が存在する一次元系J-J'モデルの励起スペクトルを厳密対角化法とリカ-ジョン法などを併用して詳細に調べた。以下主要な結果を項目毎に述べる。(1)二次元t-Jモデルとそれに補正項が加わった場合を考えた。基底状態の相図は、高温超伝導に対応するパラメーター領域でd波の超伝導状態が広く存在し、Jの大きな領域には相分離、低濃度領域にはs波の領域が存在する。またJが小さく電子密度もそれ程大きくない領域ではほぼ金属的である。超伝導の対称性については、s波とd波の混合(実及び複素)を考慮したが、高電子密度でこれらの状態が安定化することは無く、常に安定なの対称性はd波であった。以上の結果は、3サイト(補正)項を導入しても基本的には変化しない。(2)一次元J-J'モデルのスピン励起スペクトルは、ギャップの有無に対する転移点J'/J=0.2411の両側で、ギャップの有無以外の特徴も随分異なる。ギャップレスの領域は基本的にハイゼンベルグモデルと類似して、正弦(或いは二次)曲線の間に主要な連続スペクトルが広がるが、ギャップのある領域では、波数qを固定したときの動的構造因子S (q, ω)の単調減少関数にはならず、またq=π/2近傍で孤立モードが出現する。これらの特徴は無機スピンパイエルス物質であるCuGeO3の中性子非弾性散乱スペクトルと符号し、この物質ではJ'によるフラストレーションがかなり大きなことが解った。

  17. 非対角型変分関数によるメタ磁性転移の研究

    横山 寿敏, 西野 友年

    1996年 ~ 1996年

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    今年度は、次に挙げる研究を行った。(1)グッツヴィラ-型変分関数による、磁場中でのハバ-ドモデルと周期的アンダーソンモデルの研究、(2)射影BCS型変分試行関数による2次元t-Jモデルの基底状態の相図と超伝導秩序パラメーターの対称性の計算、(3)厳密対角化法とリカ-ジョン法を用いた一次元J-J'モデルのスピン動力学と静的性質及びCuGeO3の中性子非弾性散乱スペクトルの研究、(4)RVB型一重項対波動関数による一次元t-J-J'型モデルの研究。以下主要な結果を項目毎に簡潔に述べる。(1)は変分的にメタ磁性の研究をする基礎として不可欠である。この関数を無磁場での形のまま磁場中の周期的アンダーソンモデルに適用すると、自発磁化が起こる。磁場によるパラメーターの拡張が必要である。(2)基底状態の相図は、高温超伝導に対応するパラメーター領域でd波の超伝導状態が広く存在し、Jの大きな領域には相分離、低濃度領域にはs波の領域が存在する。またJが小さい電子密度もそれ程大きくない領域ではほぼ金属的である。超伝導の対称性については、s波とd波の混合(実及び複素)を考慮したが、高電子密度では、常にd波より不安定であった。(3)と(4)励起スペクトルは、ギャップの有無に対する転移点J'/J=0.2411の両側で、ギャップの有無以外の特徴も随分異なる。ギャップレスの領域は基本的にハイゼンベルクモデルと類似して、正弦(或いは二次)曲線の間に主要な連続スペクトルが広がるが、ギャップのある領域では、波数qを固定したときの動的構造因子S (q ,ω)がωの単調減少関数にはならず、またq=π/2近傍で孤立モードが出現する。これらの特徴は無機スピンパイエルス物質であるCuGeO3の中性子非弾性散乱スペクトルと符号し、この物質ではJ'によるフラストレーションがかなり大きなことが解った。

  18. 銅酸化物高温超伝導の対称性に関する変分的研究

    横山 寿敏

    1995年 ~ 1995年

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    3サイト項をパラメータとして含む2次元t-Jモデルに対し、様々なペアリング対称性を持った射影BCS関数及び反強磁性状態や金属状態を記述する波動関数を用いて、変分モンテカルロ法によりその安定性を詳細に調べ、基底状態の相図を得た。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.フェルミ液体や朝永ラティンジャー液体など金属状態のグッツヴィラ--ジャストロー型波動関数は、高電子密度領域(ハーフフィルド極限)では、あらゆる結合の強さ(J/t)で、それ自身が相分離に対して不安定であるが、この領域でよりエネルギーの低いd_x^2_<-y>^2波超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では安定である。1次元と異なり超対称(J/t=2)の場合でも、グッツヴィラ-関数(GWF)が良い領域は低電子密度に限られる。但し低電子密度極限ではGWFは格子系や次元によらずに厳密になる。 2.酸化物高温超伝導体に対応したパラメーターの領域では、d_x^2_<-y>^2波超伝導状態が格段に安定となり、S波の成分(実でも複素でも)の導入は、エネルギーを上げる方向に働く。d波では、最近接、及び次近接サイトでの電荷及びスピン相関の増大が安定化の原因である。3サイト項の導入は、その符号によらず、相図の相境界を殆ど変化させない。 3.低電子密度でJ/tの大きな領域では、s的な超伝導状態が安定になる。拡張s波での計算結果は、低電子密度極限での厳密な計算結果と非常に良く一致するが、エネルギーの低下は小さく、実際に有限電子密度でs波の超伝導が実現するかどうかは微妙である。 以上の研究成果を基にして、d-pモデルなどの多バンド系に対する変分関数の構築が、来年度以降に残された重要な研究課題である。

  19. t-J模型,d-p模型のモット転移に関する変分法による研究

    横山 寿敏

    1995年 ~ 1995年

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    今年度は単バンドモデルおよび多バンドモデルに対するモット転移の基礎的データを得る為に、変分モンテカルロ法により様々な基本的変分波動関数の性質を詳細に調べた。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.1次元t-Jモデルに対して、フェルミ液体(FL)や朝永-ラティンジャー液体(TLL)の波動関数を適用して、その振る舞いを調べた。モット転移の性質を知る為に、転移近傍での電荷圧縮率X_cや帯磁率X_sの振る舞いが重要な指標となる。これらの物理量に対して、上記波動関数は、厳密な結果との比較から、J/t≦2の場合には、非常に良い波動関数となっていることが判った。即ち、ハーフフィルド近傍のX_cやX_sの臨界的振舞いは、定量的に厳密解と一致し、ブリンクマン-ライス転移とは異なる結果が得られた。 2.酸化物高温超伝導体の有力なモデルと考えられる2次元t-Jモデルに対して、FLやTLL波動関数、様々な異方性の超伝導や反強磁性の秩序を持った波動関数を適用し、モット転移(ハーフフィルド)近傍での安定性などを調べた。1次元の場合とは異なり、2次元では超対称な場合でも、グッツヴィラ-波動関数(GWF)が安定な領域は低電子密度に限られ、d_x^2_<-y>^2波超伝導状態が安定な領域は広い。ハーフフィルド極限では、FLやTLL等の金属状態は、それ自身が相分離に対して不安定である。この性質は1次元t-Jモデルばかりでなく、ハバ-ドモデルとも異なり、より深い解析が待たれる。一方、この領域でエネルギーの低いd_x^2_<-y>^2波超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では相分離に対して安定である。 3.d-pモデルでは、上記の金属状態の関数はそのままでは、ハーフフィルドで絶縁状態にならないことが判明した。 これらの研究成果を基にして、2次元単バンド系また多バンド系で、モット転移を記述する変分関数の構築することは、来年度以降に残された重要な研究課題である。

  20. 多変数最適化法を用いた変分モンテカルロ法による二次元ラティンジャー流体の研究

    横山 寿敏

    1994年 ~ 1994年

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    今年度は多パラメーター変分モンテカルロ法の基礎的データを得る為に、様々な基本的変分波動関数の性質を詳細に調べた。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.1次元t-Jモデルに対して、フェルミ液体や朝永ラティンジャー(TL)液体の波動関数を適用して、その振る舞いを調べた。超対称(J/t=2)の場合には、グッツヴィラ-関数(GWF)がエネルギーや相関関数ばかりでなく電荷圧縮率χ_cや帯磁率χ_sなどの物理量に対しても、あらゆる電子密度で非常に良い波動関数となっている。ハーフフィルドで起こるモット転移近傍のχ_cやχ_sの臨界的振舞いは、J/t≦2 の場合には、厳密な結果と定量的に一致し、ブリンクマン-ライス転移とは異なる結果が得られた。 2.酸化物高温超伝導体の有力なモデルと考えられる2次元t-Jモデルに対して、GWFやTL液体関数、様々な異方性の超伝導や反強磁性の秩序を持った波動関数を適用し、その安定性などを調べた。2次元では超対称な場合でも、GWFが安定な領域は低電子密度に限られ、dx^2-y^2波超伝導状態が安定な領域は広い。高電子密度領域ではGWFは、それ自身相分離に対して不安定であるが、この領域でエネルギーの低いdx^2-y^2超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では安定である。 3.分数量子ホール効果の1/m(m:奇数)状態の良い変分関数として知られるラフリン型の波動関数を、分数量子ホール系に一次元の調和ポテンシャルを導入した量子細線のモデルに対して適用した。基底状態の分布関数及び低エネルギー励起スペクトルから端のTL流体パラメーターを計算した。 これらの研究成果を基にした、多パラメーターによる最適化された変分関数の構築は、来年度以降に残された重要な研究課題である。

  21. 2バンドハバ-ドモデルにおける朝永-ラティンジャー流体の変分的研究

    横山 寿敏

    1994年 ~ 1994年

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    今年度は多バンドモデルの基礎として、単バンドモデルに対し様々な基本的変分波動関数の性質を詳細に調べた。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.1次元t-Jモデルに対して、フェルミ液体や朝永ラティンジャー(TL)液体の波動関数を適用して、その振る舞いを調べた。超対称(J/t=2)の場合には、グッツヴィラ-関数(GWF)がエネルギーや相関関数ばかりでなく電荷圧縮率χ_cや帯磁率χ_sなどの物理量に対しても、あらゆる電子密度で非常に良い波動関数となっている。ハーフフィルドで起こるモット転移近傍のχ_cやχ_sの臨界的振舞いは、J/t≦2の場合には、厳密な結果と定量的に一致し、ブリンクマン-ライス転移とは異なる結果が得られた。 2.酸化物高温超伝導体の有力なモデルと考えられる2次元t-Jモデルに対して、GWFやTL液体関数、様々な異方性の超伝導や反強磁性の秩序を持った波動関数を適用し、その安定性などを調べた。2次元では超対称な場合でも、GWFが安定な領域は低電子密度に限られ、dx^2-y^2波超伝導状態が安定な領域は広い。高電子密度領域ではGWFは、それ自身相分離に対して不安定であるが、この領域でエネルギーの低いdx^2-y^2波超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では安定である。 3.距離の自乗に逆比例する結合定数を持った一次元超対称t-Jモデルの厳密な低エネルギー励起状態の研究を、変分モンテカルロ法を用いて行なった。今年度は特に電子-正孔型の励起状態を調べた。ハーフフィルド系及び殆どスピン分極をした系以外では、フェルミ面近傍での励起はGWFでは表せないことが解った。 以上の研究成果を基にして、多バンド系の最適化された変分関数の構築する事が、来年度以降に残された重要な研究課題である。

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