研究者詳細

顔写真

ナカイ タク
中井 琢
Taku Nakai
所属
大学院医学系研究科 創生応用医学研究センター 酸素医学分野
職名
助教
学位
  • 博士(医学)(東北大学)

  • 修士(医科学)(東北大学)

共同研究・競争的資金等の研究課題 2

  1. 尿中腎細胞を活用した低酸素誘導性因子の活性化による腎保護効果の分子機序解析

    鈴木 教郎, 関根 弘樹, 佐藤 浩司, 田中 哲洋, 中井 琢

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)

    研究機関:Tohoku University

    2023年9月8日 ~ 2026年3月31日

  2. 腎エリスロポエチン産生細胞に着目した慢性腎臓病の新規分子基盤の探索

    中井 琢

    2021年4月28日 ~ 2024年3月31日

    詳細を見る 詳細を閉じる

    これまで、腎尿細管皮質の線維芽細胞の大半がEPO産生能を有する細胞(REP細胞)であると考えられてきた。しかし、REP細胞が標識された遺伝子改変マウスの解析から、実際にEPO産生能を有するのは一部(Real-REP細胞)に限られ、多くが既にEPO産生能を喪失した細胞(Post-REP細胞)であることが明らかとなった。また、Real-REP細胞における低酸素誘導性のEPO産生は腎障害に伴って著しく抑制されるものの、薬理的なHIF活性化(PHD阻害)により一部回復可能であることが確認された。この結果から、病態低酸素環境下でのPHD異常活性化が示唆された。さらに、詳細な解析から、Real-REP細胞は低酸素および炎症に対する応答性が高く、Post-REP細胞は線維化に対する応答性が高いことが示唆された。炎症を惹起するとReal-REP細胞における炎症応答遺伝子発現が顕著に誘導され、腎障害時にはPost-REP細胞の線維化関連遺伝子の発現が著しく亢進した。 続いて、Real-REP細胞のマーカーとして炎症応答に関係する細胞表面タンパク質を同定した。当該マーカーの発現は障害腎においても維持されており、障害腎におけるREP細胞を当該マーカーの発現の有無により分類したところ、線維化関連遺伝子の発現量に差を認めた。この結果は、EPO産生能に基づいて分類した際の結果と合致しており、当該マーカーがReal-REP細胞の性状解析に有用であることを示している。 以上の結果から、REP細胞集団はEPO産生を含む低酸素や炎症などの環境ストレス応答を担う細胞とEPO産生能を失ったのち構造維持にはたらく細胞に分かれることが示唆された。