研究者詳細

顔写真

シユクリ ユキコ
宿利 由希子
Yukiko Shukuri
所属
高度教養教育・学生支援機構 言語・文化教育センター 言語・文化教育センター(日本語)
職名
准教授
学位
  • 博士(学術)(神戸大学)

  • 修士(文学)(東北大学)

所属学協会 4

  • 日本語音声コミュニケーション学会

  • 社会言語科学会

  • 日本語教育学会

  • 日本語学会

研究キーワード 1

  • 社会言語学、日本語教育

研究分野 1

  • 人文・社会 / 日本語教育 / 社会言語学

論文 22

  1. 笑い方の表現と主体の印象に関する日中比較ーー小説における使用実態調査と日中母語話者対象の意識調査からーー 査読有り

    宿利由希子, 王睿来, 林萍萍, 揣迪之, 羅希

    日本語の研究 21 (2) 35-52 2025年8月

  2. ストーカー報道に見られる行動描写と 主体の印象に関する意識調査

    宿利由希子

    東北大学言語・文化教育センター年報 (10) 79-86 2024年12月

  3. 初学者向け日本語集中予備教育用教科書に関する考察 -『いろどり』と『みんなの日本語』を用いた実践と比較-

    薄井宏美, 髙橋未有, 三島敦子, 宿利由希子

    東北大学言語・文化教育センター年報 (10) 47-54 2024年12月

  4. オンライン教科書を用いた初学者日本語研修コース―コース全体の構成と学 習効果に関して―

    三島 敦子, 宿利 由希子, 薄井 宏美, 髙橋 未有

    東北大学言語・文化教育センター年報 (9) 38-45 2023年12月

  5. 初学者向け日本語集中予備教育における副教材作成―オンライン教科書『いろどり』を用いた総合授業における取り組み―

    髙橋 未有, 三島 敦子, 宿利 由希子, 薄井 宏美

    東北大学言語・文化教育センター年報 (9) 26-32 2023年12月

  6. 小説の用例に見る動作の表現の日中比較―『三体』と『七回死んだ男』における人物像― 査読有り

    宿利由希子, 王 睿来, 羅 希, 揣 迪之

    東北大学高度教養教育・学生支援機構紀要 9 13-26 2023年3月

  7. 「野党は批判ばかり」言説の発言者はだれか―国会会議録と新聞報道の観察から― 査読有り

    宿利由希子

    東北大学言語・文化教育センター年報 8 94-101 2022年12月

  8. 政治家の「非流暢な発話」と映像編集 査読有り

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション 10 41-57 2022年3月

  9. 犯罪報道に見ることばの誘導性ーストーカー規制法違反の事例からー 査読有り

    宿利 由希子

    高度教養教育・学生支援機構紀要 8 209-220 2022年

  10. 解任決議案を提出された委員長の指名発話の特徴 査読有り

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション 9 38-54 2021年3月

  11. キャラと翻訳 : 登場人物たちを描写することばの変化—特集 ポップカルチャーの日本語

    宿利 由希子

    日本語学 40 (1) 92-101 2021年

    出版者・発行元: 明治書院

    ISSN:0288-0822

  12. 既習項目復習のための娯楽性を備えた日本語映像教材の開発 : 留学生・日本語母語話者学生・教師の協働実践 査読有り

    宿利 由希子, 小柴 裕子, 住田 哲郎

    イマ×ココ : 言語教育実践 / 実践持ち寄り会 編 (9) 30-35 2021年

  13. 小説における泣き方の表現の日露比較 -有島武郎『或る女』の用例から- 国際共著 査読有り

    宿利 由希子

    東北大学言語・文化教育センター年報 6 47-54 2021年

  14. マンガ専門科目における留学生の日本語理解度調査 査読有り

    宿利 由希子, 住田 哲郎, 小柴 裕子

    専門日本語教育研究 22 33-40 2020年12月31日

    出版者・発行元: 専門日本語教育学会

    DOI: 10.11448/jtje.22.33  

    ISSN:1345-1995

    eISSN:2185-7881

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    本研究は、京都精華大学で特に留学生の多いマンガ学部の専門科目において、扱われる語彙・表現のうち留学生が理解しにくいのはどのようなものか、また留学生の母語によって理解度に違いがあるのか、という2点を明らかにするため、マンガ学部の留学生45名および日本語母語話者学生5名の計50名を対象に語彙・表現の理解度調査を行った。調査は、マンガ学部の専門科目の講義部分を計245分収録し、収録データから選出した、日本語授業で扱っておらず、かつ留学生にとって理解困難と考えられる語彙・表現を用いて、質問紙の形で行った。調査の結果、留学生の理解度は日本語母語話者学生の理解度より有意に低く、特に「蚊帳の外」などの慣用表現と「ドハマリする」などの俗語の留学生の理解度が低いことが明らかになった。従来の日本語教育では、カタカナ語やオノマトペ、慣用表現が、日本語母語話者間で一般的に用いられているのに対し、日本語学習者にとっては習得が困難であることが指摘されてきたが、本調査の結果から、俗語も同様の状況にあることが示された。また、留学生の母語別に調査結果を分析したところ、中国語母語話者の理解度は韓国語母語話者の理解度より有意に低く、特に「シンドローム」や「ノウハウ」といったカタカナ語の理解度に大きな差があることがわかった。

  15. 作文添削における日本語母語話者の正誤判断の揺れ 査読有り

    宿利, 由希子

    京都精華大学紀要 = Journal of Kyoto Seika University 53 3-25 2020年2月29日

    出版者・発行元: 京都精華大学

    ISSN:0917-3986

  16. 日露比較から見る日本語の笑い方の表現の特徴 査読有り

    宿利 由希子, カリュジノワ マリーナ

    日本語の研究 15 (3) 18-25 2019年12月1日

    出版者・発行元: 日本語学会

    DOI: 10.20666/nihongonokenkyu.15.3_18  

    ISSN:1349-5119

    eISSN:2189-5732

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    本稿は,笑い方の表現を考察対象とした日露比較により,動作主と動作の描写におけることばと人物像(キャラ)の結びつきの多寡および強さという日本語の特徴を示すものである。ロシア語原文小説とその日本語訳版の比較調査,および日本語原文小説とそのロシア語訳版の比較調査の結果,日本語がロシア語に比べ笑い方の表現の種類が豊富であることがわかった。また,笑い方の表現がどのような人物像にふさわしい笑いとして認識されているか,日露それぞれの母語話者を対象に行った意識調査の結果,「微笑む」に相当するロシア語がどのような笑い手にも使えるニュートラルな表現であるのに対し,対応する日本語の「微笑む」「にこっと笑う」などは笑い手を限定する,特定の人物像と結びついた表現であることが明らかとなった。

  17. 動詞否定丁寧形で終わる文の発話の印象評定実験報告-日本語母語話者とロシアの学習者の比較から- 査読有り

    宿利 由希子, 大内 将史

    日本語音声コミュニケーション 6 138-157 2018年3月

  18. キャラクタの笑いの表現に関する日露対照 : ドストエフスキー『罪と罰』の用例と日本語訳から 査読有り

    宿利 由希子

    国際文化学 30 40-64 2017年3月15日

    出版者・発行元: 神戸大学大学院国際文化学研究科

    DOI: 10.24546/81009738  

    eISSN:2187-2082

  19. 日本語の性差に関するロシア人日本語学習者の意識調査報告 : 翻訳文の自称詞と文末詞に注目して 査読有り

    宿利 由希子, カリュジノワ マリーナ, 大内 将史, プーリク イリーナ, ミロノワ リュドミラ, シモノワ エレーナ, ノヴィコワ オリガ

    日本語とジェンダー / 日本語ジェンダー学会学会誌委員会 編 16 34-41 2016年

    出版者・発行元: 日本語ジェンダー学会

    ISSN:2435-3825

  20. ロシア語母語話者の日本語役割語に関する意識調査 : アニメ・マンガの役割語に注目して—How do Russian native speakers recognize Japanese Role language in Anime and Manga? : Results of the awareness survey 査読有り

    宿利 由希子, プーリク イリーナ, ミロノワ リュドミラ

    日本言語文化研究会論集 = Journal of Japanese Language and Culture / 日本言語文化研究会 編 (11) 19-35,37 2015年3月

    出版者・発行元: 日本言語文化研究会

    ISSN:1880-4918

  21. Japanese Language and "Characters": From the Perspective of Teaching Japanese as a Foreign Language

    Shukuri Yukiko

    Acta Linguistica Asiatica, Ljubljana University 5 (2) 61-68 2015年2月

  22. キャラクタのタイプと役割語に関する意識調査報告 -≪私たち≫タイプに注目して-—Investigation Report - Charactor Types and Role Language in Modern Japanese Real World

    宿利, 由希子

    言語科学論集 16 85-96 2012年12月1日

    出版者・発行元: 東北大学大学院文学研究科言語科学専攻

    ISSN:1343-4586

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    type:紀要類 (bulletin)

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MISC 3

  1. 声を出さない笑い方の表現に関する日英比較 査読有り

    宿利由希子

    ヨーロッパ日本語教育2024日本語教育シンポジウム第 27 回AJEヨーロッパ日本語教育シンポジウム報告・発表論文集 8 522-527 2025年8月

  2. 合コンにおけるフッティング(footing)の実践—第19回年次大会 研究発表 要旨

    宿利 由希子

    日本語とジェンダー / 日本語ジェンダー学会学会誌委員会 編 18 51-53 2019年

    出版者・発行元: 日本語ジェンダー学会

    ISSN: 2435-3825

  3. コミュニケーションにおける丁寧さに関する齟齬: 動詞否定丁寧形の発話と話し手の人物像—Communication Conflicts about Politeness : Information about a Speaker and Utterance including the Negative Polite Verb

    宿利 由希子

    言語・音声理解と対話処理研究会 / 人工知能学会 [編] 82 38-43 2018年3月

    出版者・発行元: 人工知能学会

    ISSN: 0918-5682

書籍等出版物 2

  1. 「キャラ」概念の広がりと深まりに向けて

    定延, 利之

    三省堂 2018年7月

    ISBN: 9784385349138

  2. 限界芸術「面白い話」による音声言語・オラリティの研究

    定延, 利之

    ひつじ書房 2018年2月

    ISBN: 9784894769052

講演・口頭発表等 32

  1. 声を出さない笑い方の表現に関する日英比較

    宿利由希子

    第27回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム 2024年8月23日

  2. オンライン教科書『いろどり』を用いた日本語研修コースの実践報告

    宿利由希子, 薄井宏美, 髙橋未有, 三島敦子

    日本語音声コミュニケーション学会2023年度春季大会 (春の宵山研) 2023年5月26日

  3. 話し手と結びついたことば遣い「役割語」を学ぼう!

    宿利由希子

    2022年度マレーシア日本語教育セミナー 2023年3月

  4. 国際共修授業「おもしろい話とことば」

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会・日本語プロフィシェンシー研究学会共催 2022年度「面白い話」をめぐる研究集会 2022年10月

  5. 動作の表現と人物像の日中比較―小説『三体』『七回死んだ男』

    宿利由希子, 王 睿来, 羅 希, 揣 迪之

    第46回社会言語科学会研究大会 2022年3月

  6. 政治家の「非流暢な発話」と映像編集

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会2021年度秋季大会 2021年11月

  7. 類義表現の分類と人物像―ディケンズ作品の和訳を例に―

    宿利由希子

    第126回国語語彙史研究会 2021年9月

  8. 講義における「非流暢な発話」の特徴と理解

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会2021年度春季大会 2021年5月

  9. 泣き方の類義表現の分類―動作主の特性に着目して―

    宿利由希子

    日本語学会2021年度春季大会 2021年5月

  10. 国会指名における間と間合い

    宿利由希子

    日本語認知科学会間合い研第18回分科会 2021年3月

  11. 解任決議案を提出された委員長の国会審議における発話:ピッチ・強さ・速度・間の特徴

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会2020年度秋季大会 2020年11月

  12. 国会指名における間

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会 & JALP ジョイント大会 2020年10月

  13. 泣き方の表現に見られる性差―小説における日本語とロシア語の比較から―(資料提示のみ)

    宿利由希子, カリュジノワ マリーナ

    日本語学会2020年春季大会 2020年5月

  14. マンガ学部専門授業の語彙・表現調査報告

    宿利由希子, 住田哲郎, 小柴裕子

    専門日本語教育学会第21回研究討論会 2020年3月

  15. ストーカー犯罪報道から考えるメディア・リテラシー―「みだりにうろつく」のは誰か―(資料提示のみ)

    宿利由希子

    第44回社会言語科学会研究大会 2020年3月

  16. 作文添削における正誤判断の揺れに関する調査報告

    宿利由希子

    第23回ヨーロッパ日本語教師会シンポジウム 2019年8月

  17. 「空気」の発生と消滅:合コンにおける「いじり」の事例

    宿利由希子

    日本語音声コミュニケーション学会2019年度春季大会 2019年5月

  18. ロシア語母語話者による発話の言語形式・発音・話者情報と日本語母語話者の評価―動詞否定丁寧形「~ません」「~ないです」の発話に関して―

    宿利由希子

    2018年度日本語教育学会秋季大会 2018年11月

  19. 合同コンパ場面における日本語母語話者の話題導入と気遣い

    宿利由希子

    社会言語科学会第42回大会 2018年9月

  20. ユーモアを生み出すための「間」―ボケとツッコミのタイミングに関する考察―

    宿利由希子, 林良子, ヴォーゲ, ヨーラン, 定延利之

    日本認知科学会第35回大会 2018年9月

  21. 動作主のキャラと表現に関する日本語学習者の誤用について

    宿利由希子

    ヨーロッパ日本語教師会・ヴェネツィア2018年日本語教育国際研究大会 2018年8月

  22. 合コンにおけるフッティングfootingの実践

    宿利由希子

    平成30年日本語ジェンダー学会年次大会 2018年6月

  23. ロシアの日本語学習者による動詞否定丁寧形文の発話音声と母語話者の評価

    宿利由希子

    日本音声コミュニケーション学会2018年度春の宵山研 2018年6月

  24. コミュニケーションにおける丁寧さに関する齟齬:動詞否定丁寧形の発話と話し手の人物像

    宿利由希子

    第82回言語・音声理解と対話処理研究会 2018年3月

  25. 個人名に対する印象と人物像の整合性について

    宿利由希子

    日本認知科学会第34回大会 2017年9月

  26. キャラクタの笑い方の表現に関する日露対照―『罪と罰』の用例から―

    宿利由希子

    第21回ヨーロッパ日本語教師会シンポジウム 2017年9月

  27. 笑わせる女:女芸人とホステスの面白い話

    宿利由希子

    第21回ヨーロッパ日本語教師会シンポジウムプレ会議 2017年8月

  28. キャラクタと笑い方の表現に関する考察─ロシア語小説の日本語訳と中国語訳から─

    宿利由希子, 羅希

    日本語学会2017年度春季大会 2017年5月

  29. キャラ・役割語をめぐる問題とその検討(担当部分は「キャラと役割語の教育」)

    定延利之, 金田純平, 金水敏, 瀬沼文彰, 友定賢治, Bekeš, Andrej, 宿利由希子

    日本語学会2016年度秋季大会 2016年10月

  30. 日本語とキャラ(担当部分は「日本語教育からみた日本語とキャラ」)

    定延利之, 友定賢治, 金水敏, 金田純平, 瀬沼文彰, 宿利由希子

    日本語文法学会第16回大会 2015年11月

  31. アネクドートから見るロシアの「面白い話」

    宿利由希子

    日本語プロフィシェンシー研究会 2015年10月

  32. キャラクタと電子資料を駆使した日本語教育の新展開(担当部分は「ロシア,ノボシビルスクにおけるキャラクタ教育の現状」)

    定延利之, 友定賢治, 朱 春躍, 金田純平, 昇地崇明, 宿利由希子

    第17回ヨーロッパ日本語教師会シンポジウム 2013年9月

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共同研究・競争的資金等の研究課題 3

  1. 動作の描写による情報操作の危険性

    宿利 由希子

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

    研究種目:Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

    研究機関:Tohoku University

    2020年4月1日 ~ 2024年3月31日

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    本研究は、日本語社会が言語的側面から情報操作の影響を受けやすい社会であることを示すものである。2021年度は、昨年度に引き続き「仮説1:日本語社会は、ことばと特定の印象との結びつきが他言語社会より強い」を検証し、さらに「仮説2:日本語社会は、発信者が悪印象を伴うことばで対象のふるまいを表した場合、受信者が対象に抱く印象が悪化する度合が他言語社会より大きい」の一部を検証した。具体的には、小説、新聞等を用いた表現の使用実態調査と、日本語母語話者を対象とした意識調査を実施した。意識調査は、新型コロナウイルスの影響で国内都市および海外への渡航が困難であったため、アンケートアプリを用いて実施した。 日本語と中国語、英語、ロシア語の小説の比較分析から、日本語はことばと特定の印象との結びつきが他言語より強いことが示された。さらに、動作主の人物像に合わない動作の表現の使用が避けられる「誘導的側面」と、 「泣きじゃくる」のような子供っぽい泣き方であることが十分伝わる表現に「子供のように」という修飾表現がある意味「重複的に」用いられても不自然ではない「重複的側面」という日本語の二つの特徴が見出された。特に後者は、比較対象の他言語では避けられる傾向にある。 日本語の新聞記事の分析から、ストーカー規制法違反に関する報道において「つきまとう」「うろつく」などの表現が、動作主が罪を認めているか否か等に関わらず用いられていること、新聞によっては60代や無職といった動作主の属性によってこれらの表現の使用が多くなっていることがわかった。 日本語母語話者を対象とした意識調査の結果、「つきまとう」「うろつく」などの表現の動作主は類義表現の動作主に比べ印象が悪いことが示された。 これらの知見について、すでに所属先紀要、日本語学会および国語語彙史研究会、社会言語学会発表で報告したほか、今後も所属学会にて発表予定である。

  2. コミュニケーションにおける丁寧さに関する齟齬について

    宿利 由希子

    2017年4月26日 ~ 2019年3月31日

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    平成30年度は、①書きことばに関して、状況と行動が一定の場合話し手のキャラによって丁寧さの評価は異なるのか、②話しことばに関して、近畿地域以外においても、会話参加者に年齢や性別、話者間の人間関係だけでなく、話し手のキャラからその気遣いを理解・評価するという傾向は見られるのか、③丁寧さの評価を左右する、状況、行動の内容、行為者のキャラという3つの要因はどのように関連し「丁寧さが伝わる/伝わらない」メカニズムを形作っているのか、という3点について明らかにすることを目指した。 ①について。笑い方の表現「にやにや」に着目し、日本人一般の笑い方を「にやにや」と表現した日本語学習者による作文を、日本語母語話者に添削させるという形で調査を行った。その結果、添削者の約3割が「(笑いの主体に合わず)不適切」「失礼」などの理由から「にこにこ」や「笑う」などの表現に修正し、残りの約7割は学習者の日本語能力を理由に「にやにや」に注意を払わないことがわかった。このことから、書きことばにおいて、笑いの主体と書き手のキャラにより丁寧さの評価が異なることが明らかになった。 ②について。初年度に収録した近畿地域のデータに、関東地域2件、東北地域1件のデータを加え、合コンの談話における話し手行動(話題導入、冗談発話等)および聞き手行動(相づち、笑い)について談話分析の手法で観察した。分析の結果、先行研究の指摘する「社会規範」とは異なる話し手・聞き手行動が観察され、それらを逸脱と認識するか気遣いと認識するかという参加者の評価は、行為者がどのようなキャラであるかによって異なってくることが明らかとなった。 ③について。平成29年度および30年度の調査を総合的に考察した結果、状況要因、内容要因、行為者要因の3つに利害要因が加わり、複雑に絡み合うことで「丁寧さが伝わる/伝わらない」メカニズムが作り出されていることがわかった。

  3. 民間話芸調査研究「面白い話コンテスト」の国際的展開による音声言語データの共有化

    定延 利之, 新井 潤, ベケシュ アンドレイ, 大工原 勇人, 萩原 順子, 波多野 博顕, 林 良子, ヒギンズ アンソニー, 岩本 和子, 鎌田 修, 金田 順平, 国村 千代, 羅 米良, 羅 希, 孟 蘭, 森 庸子, ムートン ジスラン, 仁科 陽江, 奥村 朋恵, 乙武 香里, プーリク イリーナ, 三枝 令子, 櫻井 直子, 瀬沼 文彰, 嶋津 百代, 昇地 崇明, 宿利 由希子, 楯岡 求美, ヴォーゲ ヨーラン, 山口 治彦, 山川 礼, 山元 淑乃

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

    2015年4月1日 ~ 2019年3月31日

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    音声コミュニケーションに対する理解を深め国際的に共有する上で、本プロジェクトで開発し公開してきた「わたしのちょっと面白い話」コーパスがいかに役立つかを具体的に示した。このコーパスは毎年開催している「わたしのちょっと面白い話」コンテストへの参加作品(長さは2-3分)の集成で、日本語の話しことばのバリエーションや一般の話し手の話芸の研究資料としても、「生きた」日本語話しことばの教材としても有用である。既存のコーパスを数百時間調べてもほとんど検出されない発話法が、このコーパスには豊富にみられるので、既存のコーパスの補足として利用すれば、日本語のピッチや声質などのバリエーションがよりよく理解できる。