顔写真

オザキ アキヒロ
尾崎 彰宏
Akihiro Ozaki
所属
高度教養教育・学生支援機構 教養教育院
職名
総長特命教授

所属学協会 3

  • Historians of Netherlandish Art

    2005年4月 ~ 継続中

  • 美学会

  • 美術史学会

研究分野 3

  • 人文・社会 / 思想史 / 日本学

  • 人文・社会 / 美術史 /

  • 人文・社会 / 美学、芸術論 /

受賞 1

  1. 阿部次郎文化賞

    2016年11月 酒田市

論文 39

  1. 十七世紀オランダ美術にみる躍動する女性たち 招待有り

    尾崎彰宏

    『學士會会報』July No. 961. 2023 (961) 48-54 2023年7月

  2. レンブラントの賭け――古典主義とヴァナキュラーの戦場としての《夜警》 招待有り 査読有り

    尾崎彰宏

    東北大学教養教育院=編『転換点を生きる』(東北大学教養教育院叢書 大学と教養6)東北大学出版会 6 195-216 2023年3月

  3. The Meeting of Asia and the Netherlands: On Van Gogh’s Challenge in Emulating Rembrandt 査読有り

    Akihiro Ozaki

    Intercultural Relations/Relacje Międzykulturowe – Journal of Cultural Studies, Jagiellonian University 4 (2(8)) 37-51 2021年8月

  4. Rembrandt and Japanese Washi Paper: Toward an Aesthetic of Black 査読有り

    Akihiro Ozaki

    IMAGES, PHILOSOPHY, COMMUNICATION Aesthetics and Thought in Japan and the World, Mimesisi, Milan, 2021 79-92 2021年3月

  5. Porcelain’s White Gleam: Iconoclasm and Encounter between the Netherlands and Asia 査読有り

    Akihiro Ozaki

    Kuroiwa, Taku (ed.). The Values of the Other. Sendai/Grenoble: GPJS (Tohoku University)/LITT&ARTS and ILCEA4 (Grenoble Alpes University), 2020 25-44 2020年12月

  6. The Great East Japan Earthquake and Furusato/Home. Towards Furusato as a Sacred Space 査読有り

    Akihiro Ozaki

    C. Craig, E. Fongaro, A. Tollini (eds.), Furusato: 'Home' at the Nexus of History, Art, Society, and Self, Mimesis International, Milan 45-58 2020年3月

  7. 顔のドラマツルギー―レンブラントの自画像をめぐって 招待有り

    尾崎彰宏

    日本顔学会誌 19 (2) 5-16 2019年12月

  8. After 3.11. Toward a Rehabilitation of the Mind 査読有り

    Akihiro Ozaki

    3.11 Disaster and Trauma in Experience, Understanding, and Imagination , Mimesis International, 2019, 51-58 2019年3月

  9. The Beginning of the Never-ending Struggle 査読有り

    Akihiro Ozaki

    Ch. Craig, E. Fongaro, A. Ozaki (eds.), Knowledge and Arts on the Move. Transformation of the Self-Aware Image through East-West Encounters, Mimesis International, Milan 129-138 2018年3月

  10. Vermeer's Love Letter and the East 査読有り

    Akihiro Ozaki

    Ch. Craig, E. Fongaro, A. Ozaki (eds.), How to Learn? Nippon/Japan as Object, Nippon/Japan as Method, Mimesis International, Milan, 73-90 2017年3月

  11. ベラスケスとレンブラント――粗描きにみる絵画論 招待有り

    尾崎彰宏

    『ベラスケスとバロック絵画:影響と同時代性、受容と遺産』(公開国際シンポジウム報告書) 29-39 2016年11月

  12. 「ヒエロニムス・ボッスの革新とそ のリバイバル:美術市場が創る新しい感性」 招待有り

    尾崎 彰宏

    『西洋美術研究』 (19) 175-188 2016年

  13. The Internal Body Revealed: Rembrandt”Who was a Godless Painter” 招待有り

    尾崎彰宏

    美術史学 (36) 1-7 2015年

    出版者・発行元:東北大学大学院文学研究科美術史学講座

    ISSN:0387-2688

  14. L'impatto della sfida di Van Gogh a Rembrandt 招待有り

    尾崎 彰宏

    Art History (35) 1-19 2014年

    出版者・発行元:東北大学大学院文学研究科美術史学講座

    ISSN:0387-2688

  15. 「レンブラントのスペクタクル——「受難」連作に「情念」の絵画化の射程」 招待有り

    尾崎 彰宏

    『西洋美術研究』 (17) 137-151 2014年

    出版者・発行元:三元社

  16. 十七世紀オランダ美術に描かれた女性たちをめぐって 招待有り 査読有り

    尾崎彰宏

    『男と女の文化史』(東北大学文学研究科出版企画委員会篇) 6 163-207 2013年3月

  17. Painted Images of Chinese Porcelain -Symbols of Holland as Seen in Still-Life Paintings

    尾崎 彰宏

    Art History, 34 (2013), Dep. of Art History, Tohoku Univ. (34) 1-12 2013年

    出版者・発行元:東北大学大学院文学研究科美術史学講座

    ISSN:0387-2688

  18. The Artistic Challenges of Rembrandt as Painter-Printmaker 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Rembrandt: The Quest for Chiaroscuro107 107-118 2012年3月

  19. 「アルベルト・エックハウトの「静物画」――オランダ植民地総督ヨーハン・マウリッツの「ユートピア」の表象――」

    尾崎 彰宏

    『東北大学文学研究科年報』 (59) 37-65 2010年

  20. 「オランダ美術における聖と俗――静物画の勃興」 招待有り

    尾崎 彰宏

    『西洋美術研究』 (15) 84-99 2009年

    出版者・発行元:三元社

  21. 「フェルメールのドラマツルギー」 招待有り

    尾崎 彰宏

    『ユリイカ』2008年8月号 2008年

  22. Rembrandt's Nude: Studey of Danaë 招待有り

    尾崎 彰宏

    Rembrandt and Dutch History Painting in the 17th Century 111-122 2004年10月

  23. Rembrandt and Melancholy--Transgressing between Allegory and Reality---, 招待有り

    尾崎彰宏

    Rembrandt as Norm and Anti-Norm 61-91 2004年6月30日

  24. レンブラントのコレクション――観念の体系から歴史のまなざしへ 招待有り

    尾崎彰宏

    西洋美術研究 (8) 39-60 2002年9月15日

    出版者・発行元:三元社

  25. ファン・ダイク《向日葵のある自画像》をめぐって―画家と美術愛好家のインターフェイス 招待有り

    尾崎彰宏

    美術史学 (22) 87-113 2002年3月

    出版者・発行元:東北大学大学院文学研究科美学美術史研究室

    ISSN:0387-2688

  26. アペレスに扮する自画像、あるいは絵画論の自己投影――レンブラント最晩年の自画像をめぐって 招待有り

    尾崎彰宏

    『レンブラント、フェルメールとその時代』展、愛知県美術館、国立西洋美術館 49-54 2000年4月

  27. 「K. モクシー, パノフスキーのメランコリア」(翻訳・解題) 招待有り

    尾崎 彰宏

    西洋美術研究 三元社 (4) 30-44 2000年

  28. カーレル・ファン・マンデルのポリティーク-<アカデミー>と絵画の栄光への戦略 招待有り

    尾崎 彰宏

    『西洋美術研究』(三元社) (2) 26-43 1999年

    出版者・発行元:三元社

  29. 「レンブラントの《貝殻》(B. 1)をめぐる一視点――東洋へのまなざし――」 招待有り

    尾崎 彰宏

    『日蘭学会会誌』 (40) 1-19 1996年

  30. 逆説の画家レンブラント 招待有り

    尾崎 彰宏

    「哲学会誌」 25,1-28 1-28 1990年

    出版者・発行元:弘前大学

    ISSN:0287-0886

  31. A New Look at the Bust of a young man in the MOA Museum 招待有り

    尾崎 彰宏

    美術史学 11 (11) p1-14 1989年3月

    出版者・発行元:東北大学文学部美学美術史研究室

    ISSN:0387-2688

  32. MOA美術館所蔵の《レンブラントの自画像》に関する一試論――レンブラントあるいはダウ

    尾崎彰宏

    『文化紀要』27号 27 1-26 1988年3月

    出版者・発行元:弘前大学

    ISSN:0440-8624

  33. レンブラントの村落風景画に関する一考察 招待有り

    尾崎彰宏

    『美術史学』 (9) p94-65 1987年3月

    出版者・発行元:東北大学大学院文学研究科美術史学講座

    ISSN:0387-2688

  34. ネーデルラントにおける〈聖ペテロの否認〉の図像学的研究 招待有り

    尾崎彰宏

    『鹿島美術財団年報』 (4) 194-203 1987年2月

  35. ヘンドリック・ホルツィウスの「四大元素」連作に関する二、三の考察(昭和59・60年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書:研究代表 田中英道)

    尾崎彰宏

    『西洋芸術における「メランコリー」概念の史的考察』 70-85 1986年3月

  36. レンブラントとリーフェンスの知られざる競争(Aemulatio)――両者の『サムソンとデリラ』 を中心に―― 招待有り

    尾崎彰宏

    『美術史学』 (7) 87-110 1985年3月

    出版者・発行元:東北大学文学部美学美術史研究室

    ISSN:0387-2688

  37. レンブラントの『聖ペテロの否認』の再検討――ブリヂストン美術館の作品の調査報告

    尾崎彰宏

    「文化」 48 (3・4) 70-91 1985年2月

    出版者・発行元:東北大学文学会

    ISSN:0385-4841

  38. レンブラントのメランコリー――サスキアを描いたデッサンを中心に―― 招待有り

    尾崎彰宏

    『美術史学』 (6) 73-98 1984年3月

    出版者・発行元:東北大学文学部美学美術史研究室

    ISSN:0387-2688

  39. 「レンブラントとリーフェンスの『ラザロの復活』をめぐる一考察」 招待有り

    尾崎彰宏

    『美術史学』 (4) 43-57 1982年3月

    出版者・発行元:東北大学文学部美学美術史研究室

    ISSN:0387-2688

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書籍等出版物 33

  1. 『キリスト教文化事典』(キリスト教文化事典編集委員会 編)

    尾崎彰宏

    丸善出版 2022年8月

  2. 静物画のスペクタクル:オランダ美術にみる鑑賞者・物質性・脱領域

    尾崎彰宏

    三元社 2021年3月

  3. 美学の事典

    尾崎彰宏

    丸善出版 2020年12月

  4. 看名画的眼睛:凡·高与伦勃朗 (中国語) (「ゴッホが挑んだ「魂の描き方」: レンブラントを超えて」の中国語訳)

    尾崎彰宏

    安徽美术出版社 2019年5月

  5. 17世紀オランダ美術と〈アジア〉

    尾崎 彰宏

    中央公論美術出版 2018年12月

  6. Knowledge and Arts on the Move: Transformation of the Self-aware Image through East-West Encounters

    尾崎 彰宏

    Mimesis(Milan) 2018年

  7. 『ネーデルラント美術 の光輝』

    尾崎 彰宏

    ありな書房 2017年2月

  8. 『17世紀オランダ美術の 東洋表象研究』(科学研究費基盤(A)報告書 (課題番号:24242008)代表:幸福輝)

    尾崎 彰宏

    国立西洋美術館 2017年

  9. How to Learn? Nippon/Japan as Object, Nippon/Japan as Method

    尾崎 彰宏

    Mimesis(Milan) 2017年

  10. 『ネーデルラント美術の魅力 ヤン・ファン ・エイクからフェルメールへ』

    尾崎 彰宏

    ありな書房 2016年12月

  11. 『視覚のラビュリ ントスⅣ 視覚のイコノグラフィア』

    尾崎 彰宏

    ありな書房 2015年7月

  12. 『フェルメールと「風俗画」の巨匠たち』

    尾崎 彰宏

    小学館 2015年

  13. 『カーレル・ファン・マンデル「北方絵画列伝注解」』

    尾崎 彰宏

    中央公論美術出版 2014年

  14. ゴッホが挑んだ「魂の描き方」 : レンブラントを超えて

    尾崎, 彰宏

    小学館 2013年

    ISBN: 9784098230259

  15. レンブラント:光の探究/闇の誘惑(論文集)

    エリック・ヒンデルデインク、保井亜弓、尾崎 彰宏、マーティン・ロイヤルトン=キッシュ、幸福輝、ボブ・ファン・デル・ボーヘルト、熊澤弘

    国立西洋美術館 2012年3月

  16. 栗原隆編『共感と感応――人間学の新たな地平』

    尾崎 彰宏

    東北大学出版会 2010年

  17. 栗原・矢萩・辻本編『空間と形に感応する身体』

    尾崎 彰宏

    東北大学出版会 2010年

  18. 「レンブラントと17世紀オランダ美術における女性表現に関する研究」、平成17年~19年度学研究費補助金・基盤研究(C)

    尾崎 彰宏

    2008年3月

  19. 『線の巨匠たち展』

    尾崎 彰宏

    東京藝術大学附属美術館 2008年

  20. 栗原隆編『形と空間の中の私』

    尾崎 彰宏

    東北大学出版会 2008年

  21. 『レンブラント、フェルメールの時代の女性たち:女性像から読み解くオランダ風俗画の魅力』

    尾崎 彰宏

    小学館 2008年

  22. ヒトと人のあいだ

    尾崎 彰宏

    岩波書店 2007年6月

  23. 栗原隆編『芸術の始まる時、尽きる時』

    尾崎 彰宏

    東北大学出版会 2007年

  24. 『フェルメール』

    尾崎 彰宏

    小学館 2006年6月

  25. レンブラントのコレクション

    尾崎彰宏

    三元社 2004年4月

  26. ポール・バロルスキー著『庭園の牧神:ミケランジェロとイタリア・ルネサンスの詩的起源』

    尾崎彰宏

    法政大学出版局 2001年10月

  27. パーソンズ著『絵画の見方-美術経験の認知発達-』

    尾崎 彰宏(共訳)

    1996年

  28. ヒリス・ミラー著『イラストレーション』

    尾崎 彰宏

    1996年

  29. レンブラント工房:絵画市場を翔けた画家

    尾崎 彰宏

    講談社選書メチエ 1995年9月

  30. バロック美術

    尾崎 彰宏(共著)

    1995年

  31. ケネス・クラーク『レンブラントとイタリア・ルネサンス』(翻訳)

    尾崎 彰宏

    1992年

  32. クリバンスキー,ザクスル,パノフスキー『土星とメランコリー』(翻訳)

    尾崎 彰宏(共訳)

    1991年

  33. (翻訳)模倣と創造ーオランダ美術にあたえた日本の影響ー

    尾崎 彰宏

    1989年

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講演・口頭発表等 15

  1. SDGs and Apocalypse: Aiming for Solidarity with Humankind in the Future 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Naraku: Discord, Dysfunction, Dystopia 2022年9月27日

  2. Rembrandt and Japanese washi paper: Toward an aesthetic of black 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Images, Philosophy, Communication (University of Bologna) 2019年11月11日

  3. « Porcelain’s White Gleam : Iconoclasm and Encounter between the Netherlands and Asia » 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    International Workshop : Les Valeurs de l'Autre, University Grenoble Alpes(France) 2019年3月8日

  4. Transcultural Art Production of Urban Space in Amsterdam: Rembrandt Encounter with Asia 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    "Rescaling Eurasian Cites: Cities as Places of Contact and Change" (International Symposium), Ca' Foscari University of Venice, 20-22 Feb. 2019年2月21日

  5. The Great East Japan Earthquake and Furusato/Home – Towards Furusato as a Sacred Space 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Furusato: Home at the Nexus of Politcs, History, Art, Society, and Self 2018年11月15日

  6. Porcelain’s White Gleam: Iconoclasm and Encounter between the Netherlands and Asia 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Feeling and Emotion in Philosophy (University of Utrecht) 2018年3月18日

  7. “After 3.11: Toward a Rehabilitation of the Mind” 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    International Conference 3.11:Disaster in Trauma, Experience, and Understanding, and Imagination (University of Ghent) 2018年3月12日

  8. The beginning of the never-ending struggle: Carpe Diem. (Live in the Present) Slides 招待有り

    Akihiro OZAKI

    Knowledge and Arts on The Move : Transformation of The Self-Aware Image through East-West Encounters 2017年2月13日

  9. ペラスケストレンブラント――粗描きにみる絵画論 招待有り

    尾崎彰宏

    公開国際シンポジウム『ベラスケスとバロック絵画:影響と同時代性、受容と遺産』 2016年3月4日

  10. Vermeer’s Love Letter and the East 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    How to Learn: Nippon/Japan as Object, Nippon/Japan as Method (Palazzo Marucelli-Fenzi, Florence) 2015年10月29日

  11. "A New View of Rembrandt’s Etching The Shell(B 159): Sharing Dreams of Asia as a “Community of the Imagination” 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Rome-Sendai-Leiden 2015 Workshop 2015年6月27日

  12. Rembrandt and Islam 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Sympathies and Transformations, The 4th German-Japanese University Presidents' Conference (Tohoku University, Sendai) 2015年4月15日

  13. "The Internal Body Revealed: Rembrandt “Who was a Godless Painter” 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Rome-Sendai-Leiden 2014 Workshop (Leiden University) 2014年3月24日

  14. L'impatto dell' Oriente: L'enigma della sfida di Van Gogh a Rembrandt 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    IRCA:International Research Center for Aesthetics and Art History (University of Rome Tor Vergata) 2013年3月19日

  15. Painted Images of Chinese Porcelain. Symbols of Holland as Seen in Still-Life Paintings 国際会議 招待有り

    Akihiro Ozaki

    Keywords for mutual appreciation of different cultures (University of Rome 'La Sapienza' 2013年3月18日

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共同研究・競争的資金等の研究課題 16

  1. 美術市場とその国際化に関する制度論的、交流史的研究。西洋から日本・アジアへの展開

    圀府寺 司, 小林 頼子, 安永 拓世, 池上 裕子, 青野 純子, 後小路 雅弘, 出川 哲朗, 陳岡 めぐみ, 五十殿 利治, 礒谷 有亮, 尾崎 彰宏, 河内 華子, 上原 真依

    2019年4月1日 ~ 2024年3月31日

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    研究代表者は西洋と日本の間でいち早く美術品の取引を始めた画商のひとりS.ビングについての研究を中心に進めた。国外における調査がコロナで不可能になったため、ビングの日本滞在や日本との取引に関する調査ならびにウェブ・アーカイブなどオンライン・リソースで可能な調査を優先させて一定の成果が得られた。日本での調査はビングの日本支社S.Bing & Coのあった横浜および神戸の法務局や横浜開港資料館などにおいて実施した。 当初、この研究の成果を発表する予定であったTIAMSA(The International Art Market Studies Association)の国際学会(エジンバラ大学、2020年7月)は2021年に延期になったが、今年度2021年の5月から7月にかけてオンラインで開催されることになった。この機会を活かし、研究者のネットワーク形成にもつなげたい。 その他、Artnetにおけるオークション情報の活用、経済学部の研究者の数量的分析への協力など、他の研究の可能性も引き続き探ってきた。 研究分担者もコロナの制限下において、各自工夫して成果を出してきている。日本国内の研究には大きな支障はないため、東京文化財研究所の売立目録デジタルアーカイブ化の研究は順調に進んでいる。これは日本における諸成果のうちでも特に重要なもので、将来の作品来歴・市場研究につながるものとして特筆しておきたい。この他、オランダ、アメリカなどについても後述の業績内容で示すように継続的に一定の成果は得られつつある。

  2. オランダ美術のファッション性―レンブラント、フェルメールの中の〈アジア〉

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2020年4月1日 ~ 2023年3月31日

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    レンブラントとフェルメールと〈アジア〉の研究は、消費者の美的な趣味の双方から、〈アジア〉のイメージがもった意味を説き明かしていく必要がある。そうした探究によって、ネーデルラント/オランダ美術の展開がヨーロッパ内の自立した展開の結果ではなく、ヨーロッパの世界展開と軌を一にしたグローバリズムを背景にしていることが明らかになるはずだ。 〈アジア〉の事物とそこに描かれたイメージが、オランダにインパクトを与えたのは、単なる偶然の結果ではなく、オランダ美術がヨーロッパ内部の宗教的・芸術的動向と呼応する形で受容されたからである。そのプロセスをたどることで、〈アジア〉からオランダへ、またその逆にオランダから〈アジア〉へ伝播した有田焼きの白や図像モチーフなど感性に強く働きかけた感性の変容を理解することができる。つまり、その変容が美的な趣味であり、ファッション性にあるということである。 そうした研究成果から、〈アジア〉の陶磁器などに描かれたイメージが一方的にレンブラントやフェルメールの時代に受け入れられたのではなく、北ヨーロッパ内部の美的感性の変化に呼応する形で起こったと考えることができる。私が注目しているのは「白」と「黒」に対する意識の変化である。白はキリスト教においてはネガティブな色であったが、16世紀の偶像破壊運動以後、肯定的な色へと変わった。こうしたヨーロッパの美意識の変化が、陶磁器など〈アジア〉の白を受け入れる下地となった。一方、黒を「色彩の女王」と称したティントレットのように、黒は独特の意味あいをヨーロッパ文化のなかにもってきた。黒は、レンブラントにおいて特別な意味があった。 〈アジア〉のイメージが、ヨーロッパ内部の展開の必然性と深く絡みあっていることを具体的に明示することで、一過性のものではなく、時代を超え、形を変えながら展開していくことをあきらかにできた点に研究実績がある。

  3. 東北地方における写真文化の形成過程と視覚資料の調査研究

    森岡 卓司, 元木 幸一, 石澤 靖典, 小林 俊介, 佐々木 千佳, 尾崎 彰宏, 成田 雄太

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Yamagata University

    2016年4月1日 ~ 2021年3月31日

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    最大の成果は、石澤靖典・森岡卓司編『大正・昭和期における東北の写真文化』(山形大学人文社会科学部叢書13 2021.3 ISBN9784907085124 非売品)の刊行である。本書は、大正期と昭和期における東北全域の写真文化史をカバーする内容の論集であり、類書に例のない充実した内容を有している。この他にも、合計3回のシンポジウムの主催と報告書の作成、複数回の研究集会の開催、学会参加、一般向けイベントの共催などを通じて、近代東北の写真文化史が持つ重要性を解明し、学界及び一般社会に広くアピールしてきた。

  4. ネーデルラント美術にみる共感表現・スペクタクル・美術市場――レンブラントを中心に

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2016年4月1日 ~ 2020年3月31日

    詳細を見る 詳細を閉じる

    15世紀のネーデルラント美術、とくにヤン・ファン・エイクの美術において象徴性や図像的な意味内容と並行して、聖書に語られない人物の動作や場面を描きこみ、観るものの情念をかきたてる感性的表現がファン・エイク以来、重要なファクターとして絵画の中で機能していたことが明らかになった。こうしたオランダ絵画が受容者(消費者)の手に届くようになるには、それまでとは比較にならないくらい美術市場の役割が重要になってくる。需給関係ばかりでなく、社会関係資本に立脚した広義の市場は、芸術家の自由を束縛することになるが、その一方で競争によって近代芸術家にとって最大級の価値ともいえる独創性を生みだす「場」となった。

  5. 西洋近世・近代美術における市場・流通・画商の地政経済史的研究

    圀府寺 司, 岡田 裕成, 小林 頼子, 池上 裕子, 青野 純子, 河内 華子, 桑木野 幸司, 陳岡 めぐみ, 尾崎 彰宏, 上原 真依, 赤尾 光春

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

    研究機関:Osaka University

    2014年4月1日 ~ 2019年3月31日

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    欧米圏の美術研究においてはすでに数十年前から美術市場研究が本格的に始まり、その後も着実に発展してきた。しかし、日本においては美術市場の研究は美術史研究の中でもおそらくもっとも遅れた研究領域であった。これには文化に対する政治や経済の関与を極度に警戒する日本の戦後独特の背景があるが、そのことは芸術・文化の理解や発展をまちがいなく妨げてきた。本研究においては欧米圏の研究成果をまず十分に吸収、紹介するとともに、西洋美術の領域において独自の研究を進めるとともに、美術と経済のあり方についてより深い理解を広げようとしてきた。その成果はいくつかの出版物、シンポジウムならびに多くの論文によって達成されてきた。

  6. 17世紀オランダ美術の東洋表象研究

    幸福 輝, 尾崎 彰宏, 青野 純子, 深谷 訓子, 中田 明日佳, 髙城 靖之

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

    研究機関:The National Museum of Western Art, Tokyo

    2012年10月31日 ~ 2017年3月31日

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    17世紀オランダ美術の特質はなによりその写実的風景画や風俗画にあり、古代神話や聖書主題の作品を描いたルネサンスと対比されてきた。こうしてオランダ美術における「オランダ的なもの(オランダ性)」の解明が重要な課題のひとつとなった。他方、オランダの経済的繁栄の基盤は東西貿易にあり、芸術作品を含むあらゆるモノがオランダに集まっていた。そのような社会において異国の文化の受容は必然であり、「オランダ性」はオランダ固有の国内問題であると同時に、世界に向きあった国際化の問題でもあった。本研究では、特にアジアの視点から17世紀オランダ美術を再検討し、「オランダ性」に関する様々な調査研究をおこなった。

  7. 「静物」に関する脱領域的研究―ネーデルラント美術を中心に

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2013年4月1日 ~ 2016年3月31日

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    古典主義の美術理論では最下位に置かれた静物画が、ネーデルラントでは枢要な役割をもった。それに大きな役割を果たしたのが、地理上の発見だ。多種多様なモノがヨーロッパに流入してきたことによってアイデンティティが揺らぎ、その確立のために、古代の「静物」観の再評価が起こった。16 世紀後半、ネーデルラントを席巻したイコノクラスム(偶像破壊運動)によって、宗教画像の禁止が「静物」を深化させ、フェティシズムへと向かう心性が醸成された。特にオランダにおいては「静物」が東洋交易との隆盛により促進され、それは「オランダ」の表象として際立ち、スペインなどの旧世界を駆逐する政治的機能を果たすことがあきらかになった。

  8. 共感から良心に亘る「共通感覚」の存立機制の解明、並びにその発現様式についての研究

    栗原 隆, 加藤 尚武, 座小田 豊, 奥田 太郎, 伊坂 青司, 山内 志朗, 鈴木 光太郎, 宮﨑 裕助, 松井 克浩, 佐藤 透, 野家 伸也, 尾崎 彰宏, 小田部 胤久, 城戸 淳

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

    研究機関:Niigata University

    2011年4月1日 ~ 2015年3月31日

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    「気分」と訳されてきたStimmungが、主観的なものというより、「感応」として間主観的な働きをすることを解明、カントやシェリングそしてヘーゲルの美学にこの「感応」の脈路を探索することを通してに、この「感応」を軸に、新たな人間学を構築することを試みた。 ドイツ啓蒙主義の時代に「経験的心理学」や「人間学」の厖大な試みが出版されていたことを確認、それらの読解・分析を通して、ラインホルトやフィヒテも、「経験的心理学」と対峙する中で自らの思想を形成するとともに、シェリングやヘーゲルらの自然哲学には、経験的心理学や人間学に由来する問題意識を、哲学的に知へと構築する試みを確認することができた。

  9. カーレル・ファン・マンデル著『北方画家列伝』の成立と影響に関する比較芸術論的研究

    尾崎 彰宏, 幸福 輝, 元木 幸一, 森 雅彦, 芳賀 京子, 深谷 訓子, 松井 美智子, 廣川 暁生

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Tohoku University

    2009年 ~ 2012年

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    最大の研究成果は、「カーレル・ファン・マンデル「北方画家列伝」註解」が完成し、出版の準備を整える事ができたことである。この翻訳研究の過程で、以下の点が明らかになった。(1)マンデルは『絵画の書』において、inventie(着想/創意)、teyckenconst(線描芸術)、welverwen(彩色)という鍵となる概念を用いて、15、16世紀ネーデルラント絵画史を記述したこと。(2)マンデルは、自律的に『絵画の書』を執筆したのではなく、とくにヴァザーリの『芸術家列伝』に対抗する形で、ヴェネツィアの絵画論、とりわけロドヴィコ・ドルチェの『アレティーノ』で論じられている色彩論を援用した。つまり、マンデルのteckenconstは、ヴァザーリのdesegnoを強く意識しながらも、マンデルは本質と属性の関係を逆転した。ヴェネツィアにおける色彩の優位という考えとディゼーニョを一体化させることで、絵画とは、素描と色彩が不即不離の形で結びついたものであり、絵画として人の目をひきつけるには、属性として軽視された色彩こそが重要なファクターであるという絵画論を打ち立てた。(3)この絵画とは自律的な存在ではなく、鑑賞者の存在を重視する絵画観である。つまりよき理解者、コレクターが存在することで、絵画の意味はその「あいだ」に生まれるという絵画観が表明されている。このように本研究では、マンデルの歴史観が明らかになり、ネーデルラント美術研究のための新たなる地平を開くことができた。

  10. 空間における形の認知を介した「主体」の存立の基底に見る感覚の根源性についての研究

    栗原 隆, 加藤 尚武, 座小田 豊, 尾崎 彰宏, 野家 伸也, 伊坂 青司, 山内 志朗, 鈴木 光太郎, 佐藤 透, 城戸 淳

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Niigata University

    2008年 ~ 2010年

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    「主体」は空間の中で、形の認知に感応する中でこそ自覚されるものであって、自我の自己措定のような機序によって成り立つものではないことが確認された。

  11. レンブラントと17世紀オランダ美術における女性表現に関する研究

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2005年 ~ 2007年

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    本研究の目的は、レンブラントやその同時代の画家たちの手になるさまざまな女性表現-娘から老女にいたるまで-をとりあげその特徴を明らかにすることであった。女性たちが統べる領域は家庭という小さな世界であったが、それはけっしてとるに足りない矮小な世界などではなかった。オランダの風俗画にあって女性たちは絵の中心的役割をはたしていた。この点において十七世紀オランダ風俗画は水際だっている。 オランダ絵画は宗教や神話や寓意を説明する役割から解放され、外界を写し取るのではなく、人間のありさまを詩的な想像力によって目に見える形に変容させたものだと見抜いたのは、さすがにヘーゲルの炯眼である。リアリズムとは、共同体としての精神が産みだそうとする世界を、ありうべきこととしてその共同体を構成する人々に受け入れさせる手段であり、絵はその手段を用いてまだ存在していない、いわば仮想を現実として描きだし、逆に現実が仮想としての絵をシミュレート(模倣)することになるのである。 オランダ人は、スペインとの独立戦争に勝ち抜くことで存在するようになった祖国を、女性になぞらえたイメージをつぎつぎと創りだしていくことによって意識化し、現実のものとしていったのである。オランダははじめからオランダとしてあったわけではなく、対立する「他者」(スペイン=男性性)との衝突によって、形づくられていった。時代の鑑でもあるオランダの風俗画の誕生は、祖国オランダの成立過程と深くかかわっていたのである。 もちろん十七世紀オランダとは時代背景が異なるものの、現代では女性の活躍する場は家庭から社会へと飛躍的に拡がっている。女性の力は社会に欠くべからざるものになっているのである。そうした現実をまのあたりにしている私たちには、十七世紀オランダ風俗画はけして遠い時代の遠い国の絵画ではない。そこに描きだされた女性たちは、私たちが自分たちの時代を考えるための鏡のような働きをしているのである。

  12. レンブラントと17世紀ネーデルラントの「蒐集」に関する研究

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2003年 ~ 2004年

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    17世紀初頭、スペインの軛を断ち切って世界の海に雄飛したオランダ。その騎手として他の諸都市をリードしたのがアムステルダムであった。この活気ある都市で形成されたレンブラントの財産目録の特徴を一言で評するなら、自己言及的だということだ。そこにはかれが執着した事物が蒐集されていた。ラファエッロ、ティツィアーノなどイタリア・ルネサンスの巨匠たちの作品の版画やリューカス・ファン・レイデンの版画、北方美術の特質をなす風景版画、さらには東洋のさまざまなミニアチュールならびに中国磁器などじつに多彩である。 とくに東洋の事物に対するレンブラントの蒐集品からかの地に対する憧憬の念を抱いていたことが読み取れる。東洋を「他者」としてとらえていたのである。そうすることによって、オランダのアイデンティティの形成にかれも一役買ったのである。17世紀ヨーロッパは絶対王政へ移行する時代だ。そうした潮流からするとレヘント、貴族、農民からなるオランダ社会は旧体制に映る。しかし逆に宗教の寛容を打ち出し、海洋交易とそれを支える市場を開拓することで一大商業国家へと変身を遂げていった。15世紀末の大航海以来、交易によってもたらされる文物は新知識の源である。この進歩の思想に支えられる形で、17世紀オランダはスペインはもとよりフランスやイギリスに旧国家というレッテルを貼り、時代遅れのイメージをつくりだしことに成功した。レンブラントのコレクションもこうした時代の雰囲気を共有していたのである。

  13. 「古典主義」美術の理論的研究

    田中 英道, 尾崎 彰宏, 有賀 祥隆, 松本 宣郎

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Tohoku University

    2002年 ~ 2003年

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    本研究では、研究代表者が日本と西洋の古典主義を比較検討する作業を行っている。とくに、本年度は、代表者がドイツに長期で滞在する機会を得たため、ドイツ・ゴシック美術と日本美術の関係について詳細な報告をおこなった。古典主義が美術表現にどのような形で表れてくるのか、研究分担者が、それぞれの専門領域からアプローチし、それぞれの成果はやはり研究報告書にまとめられた。 古代を担当する松本宣郎は、「古代ローマの美術政策」に光を当てている。ローマ美術、わけてもアウグストゥスの元首政の時代のローマ建築や美術に関する最近の研究に依拠して、「古典美術」が元首・皇帝の政策と関わって展開した状況を概観している。イタリアを担当する森雅彦は、「プッサンとアカデミー」の問題に絞り、古典主義の美術理論とプッサンの芸術との関連性をアカデミーという場に求め、詳細な分析をおこなった。足達薫は、パルミジアニーノの作品における古代に焦点を当て、マニエリスムと古典主義の関係に新たな視点を提供した。元木幸一は、ドイツ美術の古典主義美術の大御所、デューラーの芸術表現にいかに古代が強く作用していたかを改めて検証している。尾崎彰宏は、17世紀オランダ美術の代表的画家、「レンブラントのメランコリー」に絞った検討を行った。古代ギリシアに端を発するこの「メランコリー」理論は、ルネサンスに隆盛を極め、バロックの時代にまでその影響は残っている。その代表格がレンブラントの作品である。この視点は長らく等閑に付されてきた。

  14. 画家の工房・美術市場・コレクションの機能について-17世紀ネ-デルラントにおける芸術の生産と消費のメカニズム

    尾崎 彰宏

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Hirosaki University

    1996年 ~ 1997年

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    1ネ-デルラントの画家たちは大なり小なり工房をもち、絵画作品の生産と弟子の教育にあたっていた。その中でももっとも重要な野心的な工房は、ル-ベンスのものである。その工房の在り方が、レンブラントに大きな影響を与えた。かれは、イタリアから帰国後アントウェルペンに居を構え、そこに大がかりな工房を設けた。かれがそれまでの工房経営者とくらべて特異であったのは、当時フランドルの統治者であったアルベルト対抗と王女イサベラの宮廷画家を断った(ただし年金は受領する)ばかりか、街の画家組合の統制からも自由に活動することができた点にある。その結果、ル-ベンスは、宮廷の権威を背にしているものの、その煩わしさから自由になり、画家組合の販売の制約もかわし、かれはおのれの作品を好きなように販売する権利を獲得した。 2ル-ベンスの絵画生産の手法はこれまでに例がないほど独特であった。つまり、かれは、おのれが一人で仕上げたものであっても、構想だけであとは助手や弟子が主として製作にあたったものであっても、販売価格に差をもうけなかった。こうすることで、数多くの作品を高価で裁くというやり方をとることができた。 3こうしたル-ベンスの販売戦略に影響を受け、熱いライバル意識を燃やしたのがレンブラントである。かれは、このル-ベンスの工房のやり方、つまり、画家の名前は一種のブランド名として市場戦略を描くことの利点を修得した。その意味では、レンブラントこそル-ベンスの最大の理解者であったということができる。 4近代の絵画市場へ大きく踏み出したオランダ絵画は、それだけではなく、社会のイデオロギーを表象する鏡としての役割を果たした。とくに、日常世界での女性の発見や、現代のハイパーテクストに繋がるような要素を絵の中に持ち込んだ。

  15. ファン・マンデルの画論と17世紀オランダ美術

    尾崎 彰宏

    1987年 ~ 1987年

  16. ヴァチカン,システィナ礼拝堂天井・壁画調査

    田中 英道, 尾崎 彰宏, 長尾 重武, 麻生 秀穂, 若山 映子, 若桑 みどり

    1987年 ~ 1987年

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    (1)現在修復が進行中の「アダムとエヴァの楽園追放」「エヴァの誕生」と, これまですでに修復を完了した各場面を足場の上に登ぼり, 近接した場所から各部分を比較検討し,ミケランジェロの制作過程の推移について考察. (2)すでに修復した「ノアの泥酔」ならびにその四隅のイニューディ等に修復の結果, 弟子の手になる部分があることが判明, プットーを含めて各場面, 各形態を直接調査し, ミケランジェロと弟子の問題にも検討を加える. (3)フレスコ画におけるカルトーンの使用, インチジオーネ,スポルヴェロなどどのように使い分けられたのか検討する. (4)システィナ礼拝堂の建築について, その様式や思想を天井壁画との関連から調査する. (5)ミケランジェロと同 1987年(昭和62年)において,「エヴァの創造」およびその下の預言者,巫女像そしてリュネット部分を観察,調査を行なったが「研究成果の概要」にも述べたように技術的な問題と図像的な問題でそれぞれ研究調査を行なった. 「アダムの創造」はまだ修復にかかっておらず, 三場面「アダムの創造」「エヴァの創造」「楽園追放」まとめて考察するわけにはいかないが, 研究実積としては預言語,巫女像についての観察,調査がある. これは今回調査の「巫女エトルリア」が頂度同じシスティナ礼拝堂の壁画のシニョレルリの「モーセの遺言と死」の中の裸体の青年と形態的によく類似しており,さらにジニョレルリのオルヴィエートのサン・ブリツィオ礼拝堂天井画の「教会博士たち」,「族長たち」「聖処女たち」の中の多くの座像との関連が見出せることが新しくわかった. ミケランジェロの師として,シニョレルリの反サヴォナローラの「反キリスト」図を含む「最後の審判」の礼拝堂壁画との思想的関連が検討されねばならない. 「預言者ザカリア」が「聖ヒエロニムス」,「預言者ヨエル」や「預言者イザヤ」などが「族長たち」の人物達,又,「巫女デルフィカ」が「最後の審判」の天使に類似するものがあり,他の預言者・巫女たちも,かなりシニョレルリ図との関連が見出される. 又,その中に描かれたプットーたちも,「コンコルダンス(和)とカリアテュードのプットーたちが「ディスコルダンス(不和)であることが判明した. これまで預言者,巫女が切り離されて論じられてきたが,交互に一人ずつ配置され(祭壇上,入口上を除く),やはり四気質,四世代,四つの時,四大元素などの単位でそれぞれ四人ずつの単位で描かれていることがほぼ判明した. このことは研究代表者の第三回の調査報告に記されている.

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社会貢献活動 13

  1. 自由へのまなざし 十選

    2009年1月22日 ~ 2009年2月6日

  2. 文化の想像力-新しい感性との出会い

    「放送大学ウェブマガジン ON AIR web」>「キャンパス×教員」https://webmagazine.ouj.ac.jp/miyagi2302/

    2023年2月 ~

  3. 文化の想像力――新しい感性との出会い(客員教員のコラム)

    2022年10月 ~

  4. あらためて「教養」教育とは?

    2022年6月 ~

  5. 読書の年輪 2022

    2022年2月 ~

  6. 建築にこめられた前川國男の「鎮魂歌」――平和国家を希求して

    『えっ! ホントに壊す?! 東京海上ビルディング 超高層ビルさえ消耗品にしてしまっていいの?』

    2022年2月1日 ~

  7. 「宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワーク」の活動意義

    「宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワーク」

    2021年7月10日 ~

  8. 「開会挨拶」

    シンポジウム「公共性と美術館の未来」

    2020年2月15日 ~

  9. 「学術・情報発信基地」としての出版会

    「宙」増刊号 東北大学出版会創立20周年記念誌

    2017年11月 ~

  10. 「日本学」と国際学術ネットワーク「支倉リーグ」「まなびの杜」(東北大学広報誌)2017年春号

    2017年 ~

  11. アレコ問題に関する一提言

    アレコ問題懇話会(報告書)

    2000年4月 ~

  12. ②交流社会の創造 弘前市の文化振興を考える

    1999年9月18日 ~

  13. 交流社会の創造――東北における現代文化の発信基地をめざして――

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その他 14

  1. 「レンブラントの真筆とは? 過熱する真贋論争のゆくえ」『花美術館』vol.76, 2021年12月, pp. 49-55.

  2. 「名誉ではなく自由を求めて――レンブラントの生涯――」『花美術館』76巻 2021年12月 pp.4-21

  3. 風俗画は誰のもの? 『芸術新潮』(2021年11月号)

  4. (展覧会評)「ルーベンス:変身力」展(「西洋美術研究」20号(2020)三元社 pp. 208-215)

  5. (展覧会評)「フェルメールと風俗画の巨匠」展(「西洋美術研究」20号(2020)pp. 197-215-217.)

  6. 解説「フェルメールの静かな革命」『芸術新潮』10月号

  7. 書評 Junko Aono, Confronting the Golden Age: Imitation and Innovation in Dutch Genre Painting 1680-1750, Amsterdam University Press, Amsterdam 2015、『デアルテ』(33号)

  8. Akihiro Ozaki, "The 21st Century Hasekura Project: Japanese Studies as the Interface of a New Knowledge", Annual Report 2016(Tohoku Forum for Creativity)

  9. 書評「絵画としての版画、版画としての絵画:北方美術に見る「風景」の独自性」(幸福輝 責任編集『版画の写像学:デューラーからレンブラント』ありな書房、2013年)「図書新聞 第3146号 2014年2月15日号」

  10. 「静物」の味覚と個人の誕生の物語(書評:「図書新聞 第3092号」)上村清雄監修解説『味覚のイコノグラフィア』ありな書房、2012年

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    2013年1月1日 図書新聞

  11. 「私的世界が輝いていた時代」(書評:図書新聞 3057号)中村俊春編『絵画と私的世界の表象』京都大学学術出版会、2012年

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    2012年4月7日号 図書新聞

  12. 田中英道教授の業績と学風 『文化』(東北大学文学会)第68巻3/4号(2005年)

  13. 解説「レンブラント:終わりなき挑戦の画家」『芸術新潮』10月号

  14. 書評・H・ペリー・チャップマン『レンブラントの自画像 : 十七世紀のアイデンティティにかんする研究』, H. Perry Chapman, Rembrandt's Self-Portraits : A Study in Seventeenth-Century Identity, Princeton, 1990, 189p.(『美学』44巻、174号)https://www.jstage.jst.go.jp/article/bigaku/44/2/44_KJ00003903484/_article/-char/ja

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