顔写真

ヤナギダ ケンジ
柳田 賢二
Kenji Yanagida
所属
東北アジア研究センター 基礎研究部門 モンゴル・中央アジア研究分野
職名
准教授
学位
  • 文学修士(東京大学)

経歴 7

  • 2007年4月 ~ 継続中
    東北大学東北アジア研究センター准教授

  • 1997年4月 ~ 2007年3月
    東北大学東北アジア研究センター助教授

  • 1995年4月 ~ 1997年3月
    東北大学言語文化部助教授

  • 1993年4月 ~ 1995年3月
    東北大学言語文化部講師

  • 1992年4月 ~ 1993年3月
    東北大学教養部講師

  • 1990年4月 ~ 1992年3月
    静岡大学教養部非常勤講師

  • 1989年4月 ~ 1992年3月
    東海大学文学部非常勤講師

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学歴 2

  • 東京大学 大学院人文科学研究科 露語露文学専攻

    ~ 1989年3月

  • 東京外国語大学 外国語学部 ロシヤ語学科

    ~ 1983年3月

委員歴 6

  • 日本ロシア文学会 東北支部事務局

    2003年7月 ~ 2015年11月

  • 日本ロシア文学会 東北支部事務局

    2003年7月 ~ 2015年11月

  • 日本ロシア文学会 日本ロシア文学会2014年(第64回)大会実行委員

    2013年11月 ~ 2014年11月

  • 日本ロシア文学会 日本ロシア文学会2014年(第64回)大会実行委員

    2013年11月 ~ 2014年11月

  • 日本ロシア文学会 ロシア語教育委員

    2008年4月 ~ 2011年9月

  • 日本ロシア文学会 ロシア語教育委員

    2008年4月 ~ 2011年9月

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所属学協会 1

  • 日本ロシア文学会

研究キーワード 5

  • 音声学

  • 音韻論

  • 中央アジア

  • ロシア語

  • 言語接触

研究分野 1

  • 人文・社会 / 言語学 / 言語接触論

論文 11

  1. リンガフランカから単一言語話者の母語への影響による言語変化について -ウズベキスタンのロシア語リンガフランカとロシア語単一話者を題材に- 招待有り

    柳田 賢二

    SLAVISTIKA (XXXV) 435-452 2020年8月20日

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    注:新型コロナウイルス感染症パンデミックのため、SLAVISTIKA XXXV号は刊行が5ヶ月遅延。

  2. ピジン・クレオール言語とコードスイッチングおよび中央アジアのリングァフランカとしてのロシア語について 査読有り

    柳田賢二

    東北アジア研究 (13) 29-56 2009年3月

    出版者・発行元:東北大学東北アジア研究センター

    ISSN:1343-9332

  3. ピジンにおける二重語(doublet)について ―言語接触における「語彙入れ替え」の可能性に関する試論―

    柳田賢二

    現代中央アジア少数民族における言語接触に関する研究(平成17年度~平成18年度科学研究費補助金研究成果報告書(基盤研究(C)、課題番号17520248、研究代表者:柳田賢二)) 1-14 2007年5月

  4. タシケント郊外旧コルホーズ「ポリトオッジェル」在住高麗人2世の朝鮮語・ロシア語混用コードについて 査読有り

    柳田賢二

    東北アジア研究 9 (9) 111-142 2005年3月

    出版者・発行元:東北大学東北アジア研究センタ-

    ISSN:1343-9332

  5. タシケント郊外旧コルホーズ"Politotdel"在住高麗人2世の2言語混用下におけるロシア語の特徴について

    柳田賢二

    東北大学東北アジア研究センター・平成13年度~平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書『旧ソ連高麗人の民族文化の継承と変遷に関する研究』 1-30 2003年3月

  6. 旧ソ連高麗人の言語状況について

    柳田賢二

    平成11年度-平成12年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))研究成果報告書『中・ロ国境地域少数民族における精神文化・言語文化の構造変動に関する研究』 8-10 2001年2月

  7. アクセント・イントネーションの理論的位置付けについて-「分節的」と「超分節約」、「直接的」と「間接的」- 査読有り

    柳田賢二

    東北アジア研究 (3) 273-291 1999年3月

  8. インネーションと二重分節 -ロシア語イントネーションを素材として- 査読有り

    柳田賢二

    言語と文化 (6) 341-356 1996年12月

  9. ロシア語動詞命令法の語幹について

    柳田賢二

    言語文化の諸相 121-131 1994年3月

  10. 失語症論に関する言語学的立場からの一考察 査読有り

    柳田賢二

    吉澤典男教授追悼論文集 96-106 1989年12月

  11. 「機能的」文体とは何か

    柳田賢二

    RUSISTIKA 5 1988年12月

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書籍等出版物 1

  1. 老子とトルストイ

    キム・レチュン講演, 柳田賢二編集

    2001年12月

講演・口頭発表等 8

  1. 日本での報道の片隅に現れたバルト3国のロシア語系住民の現状とそれにかかわる旧ソ連他地域の人々の言説に見られる言語観、民族観および国家観

    柳田 賢二

    2017年度~2019年度東北大学東北アジア研究センター共同研究 「オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究」 2018年度公開シンポジウム (兼 科研費(基盤研究(B)(海外))「オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究」2018年度シンポジウム) 2018年12月22日

  2. ロシア人にとってパラドクシカルな日本語なまり -日本語のモーラ言語性と母音無声化および前舌子音音素の少なさの干渉について

    柳田 賢二

    日本ロシア文学会東北支部2018年度研究発表会 2018年7月14日

  3. ロシア語との対照における日本語子音体系の特徴 国際会議

    柳田 賢二

    第5回日露人文社会フォーラム 2018年5月21日

  4. 共同研究「オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究」

    柳田 賢二

    東北大学東北アジア研究センター研究成果報告会 2017 2018年5月14日

  5. アルタイ州生まれの母とタシケント生まれの娘からモスクワ郊外で聞いたソ連史 ―ある旧ソ連市民家族の移住史および生活史とその言語

    柳田 賢二

    科研費(基盤研究(B)(海外))「オーラルヒストリーによる 旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究」 第2回研究会 2018年3月10日

  6. 多言語話者のリングァフランカから単一言語話者の母語への影響による言語変化の可能性について -ウズベキスタンのロシア語単一話者における子音とシンタクスの変化を題材に-

    平成28年度-31年度科研費補助金(基盤研究(B)(海外学術調査))「オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究」 第1回研究発表会 2017年3月12日

  7. 言語接触による単一言語話者の母語の変化 ─中央アジアロシア語の変化の過程と様態

    日本ロシア文学会東北支部研究発表会 2016年7月2日

  8. ウズベキスタンにおけるロシア人のディアスポラ化とそのロシア語の特徴について

    日本ロシア文学会東北支部研究発表会 2014年7月5日

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共同研究・競争的資金等の研究課題 12

  1. 中央アジア多言語社会における言語接触に関する研究 競争的資金

    制度名:Cooperative Research

    2001年4月 ~ 継続中

  2. 現代ロシア語の音韻論的研究 競争的資金

    制度名:Cooperative Research

    1986年4月 ~ 継続中

  3. ウズベキスタンにおけるロシア語の現地語化についての研究

    柳田 賢二

    2020年4月1日 ~ 2023年3月31日

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    2020年度の「研究実績の概要」に記した通り、2019年度までにタシケントの高齢の現地ロシア人3世から、「戦中戦後のタシケントにおいて、革命前からの『ヨーロッパ人地区』だけではヨーロッパ部からの膨大な数の戦争避難民を受け入れることができなくなり、ヨーロッパ系避難民がウズベク人の住居に分宿するようになった。それまでタシケントのヨーロッパ系住民とウズベク人住民の間には交際がなかったが、このことによりウズベク人がロシア語を話すようになってロシア人とウズベク人の交際が始まり、ウズベク人のロシア語がロシア人のロシア語にも影響を与えるようになった」との重要な証言を得ていた。 本科研費による調査では上記知見を基にして、戦中戦後にどこに住んでおり、どんな人を避難民として受け入れたかについてウズベク人ほかの現地民族の人々に尋ね、この証言がどの程度まで正しいかを確認することとともに、ロシア人と現地民族の両者におけるロシア語の変遷を世代別に観察する予定であった。ところが、2020年度のみならず2021年度も新型コロナ禍のためウズベキスタンへの渡航が不可能となり、現地研究を断念するほかなくなった。2021年度も前年度と同じく本科研費の執行額は0円である。その理由は、本科研費の主たる用途として想定していたのはウズベキスタン調査における旅費とインファーマントおよびコーディネーターへの謝金なので、目的外使用となる可能性のあるような物品購入を一切避けたからである。

  4. オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究

    柳田 賢二, 中村 唯史, 楯岡 求美, 堀口 大樹

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

    研究機関:Tohoku University

    2016年4月1日 ~ 2020年3月31日

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    ロシア欧州部、シベリア、バルト三国、ジョージア、アルメニア、カザフスタン、ウズベキスタンにおいてソ連時代のオーラルヒストリー聞き取りを中心とした現地研究を行った。その結果、研究チームでは、「対露感情の如何にかかわらず、またバルト、カフカース、中央アジアという極めて大きな気候差と本来あったはずの地域・宗教・民族文化差にもかかわらず、旧ソ連諸国には共通した生活文化と思考様式がある。ソ連は崩壊したが消滅したわけではなく、特に『プロパガンダ国家』、『密告社会』、『全体主義的国家観』といったその負の遺伝子が、いずれの国においても変異しつつ受け継がれていると言えるのではないか」との感想を共有するに至った。

  5. 現在の中央アジアにおけるリングァフランカとしてのロシア語の特徴と変容の研究

    柳田 賢二

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2013年4月1日 ~ 2016年3月31日

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    ウズベキスタンでは欧州系ロシア語話者が減少しているが、彼らの子供たちは依然ロシア語で教える学校へ通い、ロシア語しか話さない。ロシア語単一話者のロシア語は、年が若いほど地元民族の人々が訛りと欧州語にない独特の統語規則で話すロシア語リングァフランカに似てくる。現在の学校ではロシア語単一話者の子供たちもロシア人と話すより現地民族の友達と話すことの方がはるかに多いからである。言語接触は単一言語話者の言語にも影響を与えるが、彼らの母語は、地元民族の人々の話すリングァフランカに似てくるのである。地元言語が旧権力語に影響を与えるのはこの過程を経てであり、両者が音韻的にも文法的にも似てくるのはそれ故である。

  6. 中央アジアの多言語状況の調査研究-主としてウズベキスタンとクルグズスタンの場合

    菅野 裕臣, 菅原 睦, 柳田 賢二, 池田 寿美子, ムハメ フセーゾヴィチイマーゾフ, ラシド ウマーロヴィチユスーポフ, アリ アリーイェヴィチジョン, マネ ダヴーロヴィチサヴーロフ, マハンベト ジュスーポフ, アジズ ジュラーイェフ, ブルット インノケンチイェヴィチキム, 劉 勲寧

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tokyo University of Foreign Studies

    2010年 ~ 2012年

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    クルグズスタンとウズベキスタンのドゥンガン人計4名を日本に招聘してドゥンガン人に関する国際集会を持ったが,これはドゥンガン人研究者の初めての日本訪問であり,これを基礎に日本ドゥンガン研究会が発足することになり,その論集を作成することが出来た.さらに研究組織は上記2国を訪れ,またウズベキスタンのウズベク人,カザク人,高麗人研究者を招聘して,中央アジアの多言語状況についての研究・報告を行った.

  7. 現代中央アジア諸国における民族間共通語としてのロシア語の地位に関する比較研究

    柳田 賢二

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2007年 ~ 2009年

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    現在中央アジアでリングァフランカ(民族間共通語)として話されているロシア語には話者の母語の系統論的および類型論的差異を越えた共通性があり、このことはそれが以前に一旦ピジン化(言語接触による簡略化)を経て成立したクレオール言語(ピジン化を経て発生した新言語)である可能性を示唆する。他方、中央アジアにおいて民族間・国家間の共通語として機能しうるのは今後ともロシア語のみであり、その必要性にもかかわらず現在のように経済苦に起因する質量ともに劣悪なロシア語教育が続いた場合、それは再び本格的なピジン化に晒される可能性がある。

  8. 中央アジアのウズベク・タジク等諸民族の言語接触等に関する社会言語学的基礎研究

    菅野 裕臣, 柳田 賢二

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tokyo University of Foreign Studies

    2006年 ~ 2007年

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    研究代表者菅野裕臣は2006年秋-冬,2007年秋に,研究協力者は両年夏と秋に主としてウズベキスタンのサマルカンドに滞在し,サマルカンドにおける諸民族の居住の分布と言語状況及びウズベク人とタジク人の言語接触についての基礎的な調査を行った.ウズベキスタン全土の言語の分布についてはかつておおまかには"Etnicheskij atlas Uzbekistana", Tashkent, 2002で論じられているが,細部はそれぞれの地元のロコミで埋めていくしかない.今回サマルカンドでは住民の末端の基礎的半行政的単位としてのマハッラについての情報を得るよう努力した.また研究協力者サファーロフ氏を日本に招いて研究分担者とともに意見の交換を行った.とりあえず次の諸点を明らかにし得た. (1)ウズベク語は音素,語彙の点でタジク語化されたテュルク語であると言われるが,アクセントはウズベク語にしか見られないらしいこと(これに関連して試論を報告書に載せた),文法範疇の分野では細部での対照研究がなく,これの解明は今後に持ち越される.ウズベク語=タジク語話者のウズベク語,タジク語,ロシア語による発話に共通に見られる「Non-pon式畳語」を見いだし,これを報告書で発表した. (2)少数民族はマハッラという単位に比較的よくまとまって住んでいる.たジク人学者によるサマルカンドのマハッラに関する最新の研究を報告書に収めた.何世紀も前に移住してきた民族(アラビア人,イラン人,ユダヤ人,ジプシー等)はタジク語かウズベク語に同化しているが,比較的新しい(19世紀)移住者(テュルクメン人等)はよく言語を保っている.よその土地からの移住者(ロシア人,アルメニア人,朝鮮人等)は概してロシア化の道をたどっているが,農村で集団で住むドゥンガン人は言語をよく保っている.

  9. 現代中央アジア少数民族における言語接触に関する研究

    柳田 賢二, 菅野 裕臣, 成澤 勝

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2005年 ~ 2006年

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    研究代表者柳田賢二は分担者菅野裕臣とともに2005年夏、2006年夏の2回にわたってキルギスの首都ビシュケクおよびその近郊にあるドゥンガン人村・アレクサンドロフカにおいて現地研究を行った。そこにおける柳田の主目的は同地在住ドゥンガン人のドゥンガン語・ロシア語コードスイッチングの音声資料採取にあったが、主に宗教上の理由から訪問した家庭における家族内の会話を収録することが著しく困難であり、それゆえ、コードスイッチングが実際に行われていることは確認できたものの、残念ながらその分析に十分な音声資料を採取することには成功しなかった。しかし、2001年から現在に至るキルギスとウズベキスタンにおける現地研究を通じて、中央アジアの非スラヴ系諸民族の人々が話すロシア語には、特にシンタクスの面において母語の違いを越えて同じ非規範的現象がしばしば現れることを観察していたので、これが中央アジアという古代からの多言語地域において何らかの複雑な過程を経て発生したロシア語ピジンの残滓であるという可能性を考え、ピジン言語における二重語の存在およびその役割と「語彙入れ替え」という一見極めて実現困難な現象との関係をロシア語・ノルウェー語ピジンや西欧語基盤ピジンに関する先行研究を基にして考察して論文「ピジンにおける二重語(doublet)について」にまとめた。 研究分担者菅野裕臣は2年間にわたるビシュケク等での現地調査においてドゥンガン語に関する研究論文やドゥンガン語で書かれた文字資料を可能な限り全て収集し、また質問紙法により現地のドゥンガン語基本語彙の発音を録音し、多くの音声資料を集めた。これらの分析の結果、ドゥンガン語の音韻体系は見かけ上の違いの大きさにも拘わらず中国語普通話と酷似しており、現在ドゥンガン語で用いられているキリル字正書法には余剰的特徴と弁別的特徴との区別が正しく反映されておらず文字の数が多すぎるという意味で一定の改善の余地があるとの結論に達した。このことについては「ドゥンガン語とその正書法」に詳述した。また、現在までに入手したすべての文献から71頁にのぼる「ドゥンガン関係論著・略歴目録(2001年以降)」を作成し、同じく本科研費の研究成果報告書に掲載した。

  10. 中朝をめぐる歴史認識とその今日的動態についての考察

    成澤 勝, 柳田 賢二, 上野 稔弘

    2004年 ~ 2006年

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    歴史に対する評価は往々にして現代社会のさまざまな思惑から、学術的客観性を逸脱して多方面への問題へと波及する可能性をはらんでいる。そうした傾向を排除して、この地域に共生をもたらす歴史認識の形成は如何にして可能となるのか。本研究課題はこうした課題への一定の解答を得るための具体的且つ詳細な資料・データをまとめ上げようとするものであった。とりわけ、高句麗史およ渤海史に関しては政治・言語・文化・教育といった現代的事象と深く繋がっており、この方面の分析・整理は不可欠である。 本年度は、一方ではまず問題となる地域において学術研究あるいは教育を担う機関がどのような認識を持っているか、さらにはどのような具体的方途を講じているかを、日本国内の各方面の専門家の協力をえつつ検証すべく延辺大学を訪れ、直接的に指揮する立場にある総長に面談し、一定の歴史認識の枠組みを構築しえた成果として、これを国家の政策(国益)に直結させようという動きを確認することができた。それはこれまで問題になってきた‘領土論'とはまた異質の、一定の経済的利得追究的な‘史跡および周辺自然の世界遺産化'を目指そうとするものであった。そうした動きの状況を歴史の現場から把握すべく、高句麗・渤海の史跡周辺を精査し、そうした地域の大きな変容相を確実に解明することができた。朝鮮民族文化方面の研究者たち(熊谷明泰・関西大学教授、佐野正人・東北大学助教授)の他、特に世界遺産問題では日本でのトップクラスの専門家である毛利和雄・NHM解説委員らの協力は大きかった。 さらに、これまで日本では20カ所ほどしか確認されていなかった北朝鮮内の渤海遺跡所在地を、文献精査によって60カ所以上の確認を行った。

  11. 旧ソ連高麗人の民族文化の継承と変遷に関する研究

    柳田 賢二, 菅野 裕臣, 鈴木 岩弓, 成澤 勝

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2001年 ~ 2002年

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    14年7〜8月に代表者柳田、分担者鈴木・菅野が研究協力者上野稔弘氏とともにウズベキスタンでの現地調査を行った。タシケントの高麗人文化センター協会で同協会の長老会議構成員や若い高麗人たちと会い、老若両世代の高麗人を結ぶ同協会の文化活動についてインタビューを行った。ここで、現在のウズベキタンで学習されている朝鮮語は彼ら自身が伝えてきた咸鏡道方言を基盤とする「高麗語」ではなく韓国語であることが確認された。次に旧コルホーズ「ポリトオッジェル」の高麗人文化センター議長V.S.Kim氏の助力を得てそこに1週間泊まり込んでの本格調査を行った。ここで柳田と菅野は1937年強制移住前後に生まれた同地の高麗人2世の人々に長時間のインタビューをし、この人々の言語のサンプルを得た。その結果、彼らの日常言語は朝鮮語とロシア語の混在言語であることを確認し、また、帰国後それを詳細に分析したところ、彼らの発話は「話し手の特性(社会的地位や生活史)および/または発話の状況」という要因にしたがって純粋な朝鮮語と純粋なロシア語の間を揺れ動くものであり、日常家庭内でロシア語を話している人の場合ですら音韻、形態、統語の各レベルで朝鮮語に引きずられた誤りがしばしばあってロシア語が母語となっているとは言えず、彼らの母語はあくまで朝鮮語であるとの認識に達した。鈴木は今回の調査で「ポリトオッジェル」付属墓地の墳墓すべてを記録し、生年、没年、墓の形状等でソートが可能な表を作成した。研究協力者上野氏は「ポリトオッジェル」ほかの各地において高麗人の生活文化を多数の写真に納めると同時に同地の小中学校等でインタビューを行い、分担者の成澤が11月に韓国で収集した資料と併せて高麗人の民族自我に関する考察を行った。15年3月18日には全員が集まって研究会を行い、研究成果を報告するとともに今後の継続研究の必要性を確認した。

  12. 中・ロ国境地域少数民族における精神文化・言語文化の構造変動に関する研究-社会主義時期以降における伝統とその変化を中心に-

    丸山 宏, 潘 立波, 金 敬雄, 柳田 賢二

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    1999年 ~ 2000年

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    本研究は、中国とロシアの極東における国境地域および国境付近に住む少数民族の精神文化および言語文化が、社会主義の新中国およびソビエトが成立して以降、特に1970年代末から1980年代にかけて市場経済の導入と社会体制の変動が起こる中で、どのように構造変動しているのかを解明しようとしたものである。本研究は平成11年度と12年度の2年間にわたり行われた。初年度は、関連文献の国内外における調査と収集を行った。2年目において研究代表者の丸山宏は、9月に中国内モンゴルに赴き、聞き取り調査と文献収集を行い、エヴェンキ族、オロチョン族、ホジェン族などのツングース系民族について、現代史における生活の変化を跡づけることを試みた。1949年から90年代初までの各民族自治旗の民族人口比率の激変、社会制度や生活様式の変化にともなうシャマニズム文化の断絶、漢族との婚姻率の高さや民族語教育の不備による言語文化の喪失などの諸問題について、その変化の実態を整理することができた。柳田賢二は、中国の朝鮮族居住地域で資料収集した他、極東から中央アジアに移住させられたロシアの高麗人の言語がロシア語の影響下で変容している実態を考察し、将来において極東ロシアの朝鮮系の人々の言語と比較するための予備的基礎作業を行った。金敬雄は中国朝鮮族の言語の変遷に関して、新中国成立以降、文革期を経て、韓国との国交樹立以後までを時期区分し、特に中国語と韓国の朝鮮語からの特徴的な語彙の受容から新しい朝鮮語が成立しつつあることを検討した。潘立波はホジェン族の民間英雄叙事文学である伊瑪堪を取り挙げ、1930年代の記録と90年代の記録を比較し、民間文学の記録という領域における時代性とその異同点を整理した。

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その他 4

  1. 現代中央アジア諸国におけるロシア語単一話者のロシア語に関するフィールドワーク

  2. 現代中央アジア諸国における民族間共通語としてのロシア語に関するフィールドワーク

  3. キルギスおよびウズベキスタンにおけるドゥンガン人の言語使用に関するフィールドワーク

  4. 旧ソ連高麗人の言語使用に関する現地調査