顔写真

モリモト コウイチ
森本 浩一
Koichi Morimoto
所属
高度教養教育・学生支援機構 教養教育院
職名
総長特命教授
学位
  • 文学修士(東北大学)

経歴 7

  • 2003年6月 ~ 継続中
    東北大学文学研究科 教授

  • 2000年4月 ~ 2003年5月
    東北大学文学研究科 助教授

  • 1996年10月 ~ 2000年3月
    東北大学文学部 助教授

  • 1988年4月 ~ 1996年9月
    横浜国立大学教育学部 助教授

  • 1989年8月 ~ 1990年5月
    デュッセルドルフ大学

  • 1986年4月 ~ 1988年3月
    横浜国立大学教育学部 講師

  • 1985年4月 ~ 1986年3月
    東北大学文学部附属日本文化研究施設 助手

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学歴 2

  • 東北大学 文学研究科 ドイツ文学ドイツ語学

    ~ 1985年3月

  • 東北大学 文学部 哲学科・哲学専攻

    ~ 1980年3月

委員歴 4

  • 東北ドイツ文学会 事務局委員,編集委員

    1996年10月 ~ 継続中

  • 東北ドイツ文学会(日本独文学会東北支部) 学会長(東北支部長)

    2008年4月 ~ 2014年3月

  • 日本独文学会 2003年秋期研究発表会実行副委員長

    2003年10月 ~

  • 日本記号学会 第15回大会実行委員

    1995年5月 ~

所属学協会 4

  • ナラティヴ・メディア研究会

  • 東北ドイツ文学会

  • 日本マンガ学会

  • 日本独文学会

研究キーワード 5

  • 隠喩

  • コミュニケーション

  • 虚構

  • 物語

  • 文学の理論

研究分野 3

  • 人文・社会 / 文学一般 /

  • 人文・社会 / ヨーロッパ文学 /

  • 人文・社会 / 哲学、倫理学 /

論文 41

  1. テンポと視点人物――物語へ向かう東村アキコ

    森本浩一

    ユリイカ 49 (4) 202-208 2017年2月

  2. 物語経験の時間性

    森本浩一

    ナラティヴ・メディア研究 (5) 15-47 2016年3月

  3. 再現のリアリティ

    森本浩一

    東北大学文学研究科研究年報 (65) 117-144 2016年3月

  4. 物語の〈人物〉はどのように経験されるか――比較ジャンル論的研究

    森本浩一

    ナラティヴ・メディア研究 (4) 55-85 2013年3月

  5. メタ表象としての虚構

    森本浩一

    文学における不在――原研二先生追悼論文集 239-251 2011年11月

  6. イメージと物語――T・グルンステンの著作を手がかりに

    森本浩一

    ナラティヴ・メディア研究 (2) 127-140 2010年8月

    出版者・発行元:ナラティヴ・メディア研究会

    ISSN:2185-534X

  7. 物語認知の比較ジャンル論的考察――物語的他者への自己移入という観点から

    森本浩一

    ナラティヴ・メディア研究会活動報告書 2008年度 121-145 2009年3月30日

  8. 表現によって現れ出るもの 招待有り

    森本浩一

    コミック研究のフレーム再考のために――研究方法の多様化と今後の展望――(ナラティヴ・メディア研究会第1回ワークショップ報告書,編集代表者:森田直子) 2008年3月

  9. 新旧論争と17世紀の「言語」観 招待有り

    森本浩一

    「新旧論争」に顧みる進歩史観の意義と限界,並びにそれに代わり得る歴史モデルの研究 (科学研究費研究成果報告書,課題番号:18320007) 2008年3月

  10. 「批評」の位相――文学を語ることはいかにして可能か 招待有り

    森本浩一

    芸術の始まる時,尽きる時 (東北大学出版会) 2007年3月

  11. 知覚リアリティ――『芸術としての力への意志』に見るハイデガーのアート哲学――

    森本浩一

    東北大学文学研究科研究年報 (56) 107-131 2007年3月

  12. 「芸術=反終焉論」の射程――芸術終焉論の現代的意味を考えるために 招待有り

    森本浩一

    芸術終焉論の持つ歴史的な文脈と現代的な意味についての研究 (科学研究費研究成果報告書,課題番号:16202001) 2006年3月

  13. 虚構の認知的効果および社会的機能に関する研究

    森本浩一

    虚構の認知的効果および社会的機能に関する研究(科学研究費補助金研究成果報告書:16520198) 2006年3月

  14. 脱自としての人間,陶酔としての芸術――ハイデガーにおける存在論と芸術論の相関 招待有り

    森本浩一

    多元的文化の論理――新たな文化学の創世へ向けて (東北大学出版会) 2005年5月

  15. 隠喩と伝達

    森本浩一

    東北哲学会年報 (19) 61-68 2003年4月

  16. 言語を知ること,言語で伝えること 招待有り

    森本浩一

    知の地平――大学におけるマルチリテラシーと応用倫理 (東北大学出版会) 2003年3月

  17. 「書くこと」と「読むこと」 ――文学的行為をどう論じるか―― 査読有り

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 (46) 77-92 2002年12月

    出版者・発行元:東北ドイツ文学会

    ISSN:0287-7813

  18. 隠喩と虚構 招待有り

    森本浩一

    言語哲学を学ぶ人のために (世界思想社) 2002年8月

  19. 文学的虚構の基本性質に関する研究

    森本浩一

    文学的虚構の基本性質に関する研究(科学研究費補助金研究成果報告書:12610568) 2002年3月

  20. アドホックな概念・非命題的なもの・弱い推意 ――隠喩論は何を明らかにしなければならないか ――

    森本浩一

    東北大学文学研究科研究年報 (51) 258-288 2002年3月

  21. アフォーダンスとミメーシス

    森本浩一

    現代思想 27 (6) 222-235 1999年5月

  22. 虚構の発話の基本性格

    森本浩一

    東北大学文学部研究年報 (47) 327-348 1998年3月

  23. コミュニケーションと詩的言語 ――「関連性理論」からの考察 招待有り

    森本浩一

    カレイドスコープ――中村志朗教授退官記念論集 (東北大学文学部ドイツ文学研究室) 1995年2月

  24. 技倆としての真 ――初期ハイデガーおよびデイヴィッドソンにおける「理解」の哲学――

    森本浩一

    横浜国立大学人文紀要・第一類 (40) 98-116 1994年10月

  25. 美しい自然から形成する手へ ――十八世紀における美学・詩学的概念形成に関する概観と考察――

    森本浩一

    横浜国立大学人文紀要・第二類 (40) 98-116 1993年10月

  26. ジャンルとは何か

    森本浩一

    日本文化研究所報告集 (29) 93-111 1993年3月

  27. 文学研究における「言語」の問題 ――象徴/アレゴリー論を手がかりとして――(2)

    森本浩一

    横浜国立大学人文紀要・第二類 (38) 169-188 1991年10月

  28. 「書くこと」と「書かれたもの」

    森本浩一

    現代思想 19 (2) 120-130 1991年2月

  29. 文学研究における「言語」の問題 ――象徴/アレゴリー論を手がかりとして――(1)

    森本浩一

    横浜国立大学人文紀要・第二類 (36) 37-52 1989年10月

  30. 他者を理解する技倆 ――再度「コミュニケーション」について――

    森本浩一

    現代思想 17 (3) 130-142 1989年3月

  31. ホーリズムの帰趨

    森本浩一

    現代思想 16 (8) 154-173 1988年7月

  32. 動物の声 ――カフカにおける「コミュニケーション」のモチーフ――

    森本浩一

    現代思想 15 (14) 121-135 1987年12月

  33. 隠喩とコミュニケーション ――デリダとデイビッドソンの場合――

    森本浩一

    現代思想 15 (6) 90-104 1987年5月

  34. 恋愛のディスクール

    森本浩一

    現代思想 15 (1) 86-93 1987年1月

  35. フランクにおける「個別性」の解釈学

    森本浩一

    現代思想 14 (11) 116-129 1986年10月

  36. 『操り人形芝居について』を読むポール・ド・マン 査読有り

    森本浩一

    人形芝居 (1) 81-88 1986年1月

  37. 自動機械としての文学 ――G.ビューヒナー『レオンスとレーナ』における反復の技法―― 査読有り

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 (29) 20-37 1985年12月

  38. 『巣穴』の解体 ――カフカ読解に関する一試論―― 査読有り

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 (73) 92-101 1984年10月

  39. 比喩を読む――ホーフマンスタール, リルケ, カフカにおける「言語」の前景化の諸相―― 招待有り

    森本浩一

    ドイツ文学論集 ――小栗浩教授退官記念 (東洋出版) 1984年1月

  40. カフカのテクストにおける「異和」の力動 ――『ある犬の探求』を例に―― 査読有り

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 (26) 69-83 1982年12月

  41. E.フッサールにおける相互主観性の問題 査読有り

    森本浩一

    流動 12 (7) 58-73 1980年7月

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MISC 10

  1. 批評と文学的経験

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 (61) 149-167 2021年3月

  2. レトリックと教養 招待有り

    森本浩一

    曙光 東北大学全学教育広報 (45) 3-5 2018年3月

  3. アイロニー,隠喩,カフカ,デイヴィドソン,ユーモア,レトリック

    森本浩一

    現代倫理学事典 2006年12月

    出版者・発行元:弘文堂

  4. 言葉を嫌悪してはいけない

    森本浩一

    フランス文学研究 2006年2月

    出版者・発行元:東北大学フランス語フランス文学会

  5. 行為としての文学的経験

    森本浩一

    ひろの 2005年10月

    出版者・発行元:財団法人ドイツ語学文学振興会

  6. Deutsch, 不条理文学を読む

    森本浩一

    人文科学ハンドブック 2005年3月

    出版者・発行元:東北大学出版会

  7. 特集:ドイツ語圏におけるコミックとコミック論 「はじめに」

    森本浩一

    東北ドイツ文学研究 48 2005年2月10日

    出版者・発行元:東北ドイツ文学会

  8. エクリチュール,クレオール,コミュニケーション理論,差異/差延,受容美学,生成文法,脱構築,ポスト構造主義,ポストモダン

    森本浩一

    現代思想フォーカス88 2001年1月

    出版者・発行元:新書館

  9. カフカ『変身』

    森本浩一

    20世紀を震撼させた100冊 1998年9月

    出版者・発行元:出窓社

  10. 実存と多文化主義

    森本浩一

    多文化主義の記号論(記号学研究16) (16) 88-89 1996年3月

    出版者・発行元:東海大学出版会

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書籍等出版物 8

  1. オーレ・フラーム:不気味な記号――コミックのパロディ的表現特性について――

    森本浩一

    東北ドイツ文学会,『東北ドイツ文学研究』第48号 2005年2月10日

  2. デイヴィッドソン――「言語」なんて存在するのだろうか

    森本浩一

    日本放送出版協会 2004年5月

  3. ハイデガーと認知科学

    門脇俊介, 信原幸弘, 森本浩一

    産業図書 2002年4月

  4. 責任という原理

    加藤尚武, 森本浩一, ほか

    東信堂 2000年6月

  5. 続・ヘーゲル読本

    加藤尚武, 座小田豊, 森本浩一

    法政大学出版局 1997年3月

  6. カルトの構図

    フーゴー・シュタム(原著, 村井翔(翻訳, 森本浩一, 山本泰生

    青土社 1996年4月

  7. 脱構築的転回――哲学の修辞学

    クリストファー・ノリス, 野家啓一, 森本浩一, 有馬哲夫

    国文社 1995年6月

  8. テクストと解釈

    フィリップ・フォルジェ, 森本浩一

    産業図書 1900年11月

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共同研究・競争的資金等の研究課題 9

  1. 言語哲学 競争的資金

    1980年4月 ~ 継続中

  2. 文学の理論 競争的資金

    1980年4月 ~ 継続中

  3. 絵物語の理論的源泉としての観相学

    森田 直子, 森本 浩一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2014年4月1日 ~ 2017年3月31日

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    本研究では、観相学という知の体系が19世紀の絵物語形式のメディアの成立に与えた影響を解明した。まず、19世紀前半のスイスで、後のストーリー漫画の原型となるような近代的絵物語を刊行したR.テプフェールが観相学を作画に取り入れた背景を解明した。一作品あたり何百回も同じ顔を描くことで物語るメディアの語りのしくみと、17・18世紀ヨーロッパの美術・演劇論・修辞学との関連を探った。とくに、18世紀までの美術・演劇理論や作法書等において、「内面を映し出す顔」と「作法・演技としての顔」という顔表現の二面性への関心が強く見られたことも明らかにした。

  4. ロドルフ・テプフェールにおける物語技法と領域横断的表現の関係

    森田 直子, 森本 浩一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2011年 ~ 2013年

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    本研究は、絵物語という新しい複合的物語メディアを生み出した19世紀前半のジュネーヴの作家R.テプフェールをとりあげ、物語メディアの歴史の一端を明らかにした。彼は絵物語固有の表現手段を生かした物語技法を編み出したが、それは小説と演劇、正統絵画と素描における「ミメーシス」についてのテプフェールの理論と実践に支えられていた。さらに彼が、国民アイデンティティの形成、読書実践の変容などを背景とした図像キャラクターの有用性を提示したことは、今日的観点から重要である。

  5. 物語フレームと人物造形の関連に関する比較ジャンル論的研究

    森本 浩一, 森田 直子

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2010年 ~ 2012年

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    本研究は、虚構の物語の創造と受容の基本的メカニズムを比較ジャンル論の方法によって明らかにしようとする一連の研究の一部である。ここではいわゆる登場人物(キャラクター)の認知プロセスに焦点をあて、「表情」「経路」「実存」を三つの基本要素とする仮説のもとで、様々な物語ジャンルの特性を比較検討した。その結果、知覚に関する制約をどのように補完するかという観点のもとで体系的な分析を行う道筋を示すことができた。

  6. 虚構における物語認知の比較ジャンル論的研究

    森本 浩一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2006年 ~ 2008年

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    本研究は, 文学的虚構から出発して, 虚構の基本性質やその受容のされ方を明らかにしようとする一連の研究の一部である。ここでは虚構の物語性に焦点をあて, 物語世界は「物語的他者」の一貫したふるまいを通じて認知されるという基本仮説(モデル)のもと, 様々なジャンルの虚構を比較・分類した。さらにその知見に基づいて従来の物語分析カテゴリー(語り手, 視点, 人物など)を組織的に再解釈することを試みた。

  7. 虚構の認知的効果および社会的機能に関する研究

    森本 浩一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2004年 ~ 2005年

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    虚構としての表象・表現は,現実としての表象・表現と「区別」される限りにおいて,固有の認知的役割を演じる。従って虚構論は,現実性の本質を扱う存在論と不可分の関係にある。この点については,過去の補助金研究(「文学的虚構の基本性質に関する研究」(2000〜2001年度)課題番号12610568)においても一定の検討を行ったが,これを踏まえつつ,本研究では,虚構の認知的特性とそれが現実認識との関係において持つ役割について考察した。 1 虚構の認知的効果。近年,認知科学において,表象内容が真として妥当する範囲(スコープ)を限定する表象機構,いわゆる「メタ表象」の研究が進んでいるが,虚構は,世界に関する直接的な信念形成からの「分離」を特徴とする点で,メタ表象の典型である。虚構は「分離」のもとでの表象の試行・探索を可能にし,それが美的な報酬感を伴うとも考えられる。虚構のメタ表象的メカニズムとその効果について検討した。 2 虚構の社会的機能。現実認知を構成する多くの表象は,百科事典的知識や報道・伝聞に基づく公共的表象であり社会的な信念システムであり,個々の表象は多くの場合,確からしさの程度を伴うスコープ付き表象であり,神話的信念や信憑性に乏しい虚構的なものも混入している。解釈を通じた虚構作品の直接的影響を含め,現実認識の構成において虚構や虚構的なものが果たす役割について検討した。 3 虚構の現実性。虚構の本来的な「現実性」は,作品の還元的解釈においてではなく,むしろその「部分」消費の過程においてこそあらわになる。詳細は今後の課題であるが,「レイヤー構造」分析の方法論を提示することで,この問題に関する端緒的な検討を行った。

  8. 芸術終焉論の持つ歴史的な文脈と現代的な意味についての研究

    栗原 隆, 加藤 尚武, 加藤 尚武, 座小田 豊, 伊坂 青司, 森本 浩一, 城戸 淳, 栗原 隆, 松田 純, 山内 志朗

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

    2004年 ~ 2005年

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    研究会については2004年8月21日〜22日に山形市で、2004年11月20日〜21日は新潟市で市民公開の形で、2005年8月6日〜7日(日)には新潟市で市民公開の形で実施し、研究分担者の間の共通認識を高めるために資すること大であった。また海外研修は2005年2月28日〜3月7日は、加藤尚武を初め6人がニューヨークで実地研修、7月2日〜10日までの間、座小田豊、栗原並びに城戸がドイツのケルン大学で、クラウス・デュージング教授の指導を受け、8月27日〜9月5日は加藤を初め7人で、ドイツ、イタリアで研修を重ね、知見を深めることが出来た。2005年10月に来日したヴァルター・イエシュケ教授と山崎純が打ち合わせを重ね、芸術終焉論をめぐるテーゼを新たに書き下ろしていただくなど、極めて有益な示唆と、今後への繋がりを得た。 栗原隆は、芸術を論じる芸術哲学が成り立つにはもとより、対象である芸術は終わっていなければなかったといういわば解釈学的な問題圏に芸術終焉論を定位することによって、芸術終焉論の合理的な解釈と必然的な問題設定に光を当てた。これに伴ない、ヘーゲルと同時代の哲学者、アストの解釈学を本邦初訳として紹介した。分担者の加藤尚武は、ヘーゲルの「絶対者」という概念がスピノザの実体概念に強く影響を受けていて、その絶対者の自己認識に参入する精神の形式の一つが芸術であるという実体観が、ヘーゲル美学の原型であることを明らかにした。また、事実性としての歴史に優位するヘーゲル的な歴史性の哲学が、過去の権威化と相容れなかったことを明らかにした。座小田豊は、ヘーゲル研究の第一人者、クラウス・デュージング教授のもとで研修に努めて、ヘーゲルの「芸術哲学講義」(1820/21)を受講した学生の、余り知られていないノートの邦訳を行なった。伊坂青司は、ドイツ・ロマン主義の画家、C・D・フリードリヒの絵画作品に明示的に、「闇」と「悪」の原理が表現されていることに着目、理念や感情を表象させるところに絵画の役割を捉えることを通して逆に、哲学の前では芸術が「終焉」しなければならないことを明かした。城戸淳は、ドイツにて研修を行なうとともに、カント『判断力批判』における「崇高の分析論」の読解を通じて、カントの崇高論(=批判的崇高論)と、ドイツ観念論美学における崇高理解(=形而上学的崇高論)との距離を測定しようとする研究を行なった結果、共通の問題設定が見られることを確認した。森本浩一は、芸術終焉論に現代性があるとすれば,それは,芸術の歴史性についての主張のゆえではなく,「芸術」という観念を支えてきた「語り」が終わるという意味においてであると見定めた上で、「芸術終焉論の現代的意味」を「反終焉論」の方から検討した。

  9. 文学的虚構の基本性質に関する研究

    森本 浩一

    提供機関:Japan Society for the Promotion of Science

    制度名:Grants-in-Aid for Scientific Research

    研究種目:Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    研究機関:Tohoku University

    2000年 ~ 2001年

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    この研究は,虚構作品の文体的様態や社会的機能ではなく,そもそも虚構が虚構として受容されるとはいかなることなのかを論究しようとするものである.この解明のために,以下の三つの観点,つまり言語哲学的・認知理論的・存在論的な観点からのアプローチを試みた. 文学的虚構とは,現実言及的ではない言語使用によって作り出された言説,およびその言説を創造し享受する行為の全体を指す.従って,まず言語使用の特徴をそれ自体として扱う言語哲学的な考察を試みる.もちろん言語そのものに現実言及と虚構との差異を刻印する特徴はない.差異は,言語を読解し解釈する際に,そこに描かれた人物や出来事に対してどのような態度で向き合っているかに応じて生じるのである.それゆえ,虚構を享受する際の「虚構のスタンス」(ラマークとオルセン)の特徴を明らかにした. しかしこの考察は,不可避的に,「字義通りに真ではない」情報から様々な派生的な表象や想定を組み立てることができる人間の認知的な能力への一般的な問いに結びつく.虚構の理解を,こうした広義のコミュニケーション過程の一部として説明しようとする場合,スペルベルとウィルソンによる関連性理論が重要な参照枠を与えてくれる.特に「隠喩」と対比しながら,虚構理解のメカニズムを一般的な表意と推意の解読・推論過程のもとで明らかにすることが可能となる. 虚構への問いには存在論的な問いが含まれる.意味論も認知理論も,虚構と現実の識別を「前提」とした議論であり,われわれが虚構のスタンスを所持することがそもそもいかなることなのかを説明しない.ハイデガーの存在論を参照し,またミメーシス概念を再解釈することで,不十分ながら,この問いへのアプローチを試みた.

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その他 1

  1. ナラティヴ・メディア研究会

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    近年の「ナラティヴ」研究の進展を受けつつ,メディア横断的に「物語」性を持つ諸ジャンルの特性を比較研究することを目的とする。東北大学大学院文学研究科および情報科学研究科の教員・大学院生を中心とした研究会であるが,ゲスト研究者を招聘しつつ,研究会・ワークショップ等を継続的に行っている。